信州小諸・中棚荘、滞在日記(1): 夕立ちで、ブルーベリーハウスに雨宿り

 合宿、初日。思ったより早く、中棚荘に着いた。市ヶ谷(大学)を12時に出て、小諸には3時すぎに到着。気温は27度。宿の辺りは、まだ蒸し暑い。標高600メートルだから、もう少し上まで登っていかないと、涼しくはならないらしい。



 3週間分の荷物を、宿のお兄さんに部屋まで運んでもらった。ケースが4つ。なにせ、ランニング用のTシャツだけで20枚。そんなには要らないだろう。走れないよね(笑)。
 ありったけをかき集めると、こんな枚数になる。ずいぶんたくさん、使いまわしているものだ。くたびれているシャツが、半分。中棚荘の合宿で使命を終える。

 午後4時のすこし前。早速、標高千メートルのサイクリングロードまで車で行ってみた。下調べしてあった、二番目のコースだ。さらに、高峰高原の方向に2キロほど上がっていくと、天狗温泉に連なる林道がある。砂利道の上りコースは、5Kのくねくね道をひたすらの上るコースだ。

 サイクルロードのコースは、ほぼ平坦な山道。農家の方が、道端にマリーゴールドやサルビア、ラベンダーを植えている。典型的な夏の花たちだ。遠くには、信州の高い山脈が見える。上高地?中央アルプス?まだ調べていない。
 サイクルロードを往復8キロ、お馬さんとすれ違いながら走り終えて戻ってきたら、夕立が来た。山の天気だ。5時ちょっとすぎ。まだ明るい。そう思って、車のエンジンをかけたら、強い雨に襲われた。それでも、初日から運がよい。
 坂道の途中で、ブルーベリー農園の直売所が3軒、店を開いていた。水色の幟が、風にはためいている。ブルーベリー農園の仕分所兼直売所の作業小屋が、下り坂の途中からまっすぐに見える。

 農園で雨宿りをさせてもらう。実は、下見に来たときには、気がつかなかったハウスだった。大池農園など、りんご農園ばかりが、目立っていた。信州、長野、りんご。連想での思い込みは怖いな。小諸には、ブルーベリーもあったんだ。
 雨宿りのついでに、摘み取ったばかりのブルーベリーを、バックに詰めてもらう。最小単位が、350㌘。一パックで400円。粒の表面が黒々としていて、大粒である。

 自宅がある、白井市の近辺にも、ブルーベリーを摘ませてくれる農家がある。甘いブルーベリーを最近食べたばかりだったので、甘さを期待して最初の一粒をほうばった。しかし、あれ?ん?、最初の一粒が、思いのほか、酸っぱかった。おや、あやや。
 70歳くらいの老人夫婦とパートのおばさんが、作業場の奥のほうで、ざるに盛ったブルーベリーを、ていねいに指で選果している紙箱につめて、道端で売るためだろうか。市場へ出荷するためかな。

 「酸っぱいね」とわたし。白髪で皺くちゃ顔のおじいさんが、間髪をいれずに、それに応える。「赤いのを食べたんでしょ」。ニコニコ、笑っている。
 自分が食べたのが、赤いのだったのか、黒いのだったのかは、わたしにはよくわからない。「黒いほうのをたべてみたらいいよ」。
 より分けている途中の、竹のざるを目の前に差しだして、おばあさんが親切に熟したブルーベリーを指差してくれる。「黒くて、ツヤがあるやつを摘んでみて」
 どれもみんなが黒く見える。でも、期待に答えて、あてずっぽうに一粒、指でつまんでみる。ギャンブルみたいなものだ。当たるも八卦か。

 まあまあ甘いかな。それほどではないが、こういうときには、親切心に答えねばならぬ。「うん、甘いね!」とわたし。おじいさん曰く。最初は赤いブルーベリーが、だんだん熟して黒ずんでくるのだそうだ。一日待てば、黒くて甘くなる、と。 
 信じて、宿の冷蔵庫に、摘んだばかりの大粒のブルーベリーを冷やしてある。一日に5粒。白内障気味のわたしの目には、極めつけに効くブルーベリーであってほしいな。
 小諸では、9月の半ばまで収穫が出来るそうだ。

 雨が上がった。晴れたら虹が出てきそうだ。まだ、湿気がある。夕食の前に、りんご風呂に入りにいこう!
 りんごの収穫時期にはまだちと早いが。