花に心を奪われて遅刻: 桔梗が咲いていた新鎌ヶ谷駅前の花壇

 夏休みに入って、スポーツクラブでトレーニングする時間が増えている。昨日は、新鎌ヶ谷駅(北総線と東武野田線が交差する駅)にあるNASスポーツクラブで汗を流していた。筋トレとトレッドミルの上を毎回5~10KMほど走る。日によって走る距離や筋トレのメニューを変えている。

 スポーツクラブが入っているのは、「アクロスモール」という名前の小さな4層のショッピングセンターである。飯田橋のコナミスポーツクラブ(旧イグザス)から、NAS鎌ヶ谷に移ってきてから3年になった。とうとう、経営学部元同僚の竹内先生と一緒に、コナミで走ることがなかった。
 このSCでよく利用している店は、ライトオン、大戸屋、サイゼリアなどである。以前は、大好きなフレッシュネスバーガーが入っていたこともある。
 スポーツクラブでトレッドミルを走っていると、成田スカイアクセスの特急電車が、ホームに滑ってくるのが眼下に見える。冬場で空気が澄んでいるときは、富士山の中腹に夕日が落ちていくのを見ることができる。

  昨日は、クラブの駐車場に車をおいたまま、シャワーを浴びてから大学に出た。
 「大震災の復興プロジェクト」(抵抗性クロマツの植林計画)の最終打ち合わせのためである。時間もないというのに、走る距離を欲張りすぎて(9、5KM)、打ち合わせの時間に遅れそうになった。それなのに、新鎌ヶ谷駅前で、花壇に咲いている桔梗に心を奪われてしまった。
  成田スカイアクセス経由で羽田空港行き電車(11時50分発)に乗れば、大学の研究室で待ってくれているMPSの宮原さんに迷惑をかけない。同僚の三好講師(イノベーションマネジメント研究科)を待たせることもない。
 走った後の汚れものなど、すべて車の中に置いたまま、身軽になったせいだろう。アクロスモールから新鎌ヶ谷駅に続く交差点をわたって、花壇の前を通りかかった。走った後は、視界もリフレッシュされるらしい。さわやかな青色と白の桔梗が一面、風に揺れているのが目に入った。
 打ち合わせの時間が切迫している。ミルの上を走りながら、温泉の水風呂につかりながら、電車に乗り込む時間まで計算していたはずである。電車に飛び乗るまで、余裕はわずか数分。
 だから、一度は、東武野田線の改札方面に足が向いた。その先に、北総線の新鎌ヶ谷駅があるのだが、通り過ぎた桔梗の姿がどうしても気になった。気がつくと、交差点の前まで引き返してしまっていた。
 
 そこは、公共の花壇である。いつもは、とくに何かが植えられていたという記憶がない。たぶん、春先にはパンジーかペチュニア、夏にはサルビアか夏の花が植えられていたはずである。常識的に考えるとそうにちがいない。
 わたしの足が止まってしまったのは、いつもとはちがう何か、この場合は、色鮮やかでさわやかな桔梗のブルーを見てしまったからだろう。夏の真ん中の7月末で、こんな時期にである。
 いつもは殺伐とした駅前の花壇に、一面の桔梗が風に揺れていたのである。最初は、品種を確認するためだった。ふつうの桔梗なのだろうか?
 たおやかで丈夫そうな桔梗だった。植物が健康に見えたのだ。特別な品種を植えたわけでもなさそうだ。後で知ったことだが、野生の原種の桔梗は、絶滅寸前の植物らしい。それだから、園芸種なのにたおやかに見えたのだろうか。

 携帯で写真を撮ってみた。花心がわかる、何人かの友人たちに、電車の中から携帯メールで桔梗の写真を送ってみよう。
 そうして数枚を撮っているうちに、羽田行きの電車はホームを離れてしまった。三好さんと宮原さんには、ホームから言い訳の電話をしなければならない。
 申し訳ない。学生たちには、「時間厳守」といつもうるさく言っているわたしが、花の写真を撮るために、遅刻をすることになる。

 桔梗の写真を、自分のPCにも送ってみた。いまは、研究室のPCの壁紙になっている。桔梗は秋の花と思っていたが、咲くのは夏の真ん中だったのだ。こんなことでもなければ、気がつくことは、きっとなかっただろう。

<補足>
 WIKIPEDIAで、誤解の理由がわかりました!
 秋の七草のひとつなのに、実際の花の時期は、6~9月だったのですね。

 「キキョウ」(桔梗、Platycodon grandiflorus)はキキョウ科の多年性草本植物。山野の日当たりの良い所に育つ。日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。
 万葉集のなかで秋の七草と歌われている「朝貌の花」は本種であると言われている。絶滅危惧種である。
 形態根は太く、黄白色。高さは40-100cm程度。葉は互生で長卵形、ふちには鋸歯がある。下面はやや白みがかっている。
 つぼみの状態では花びら同士が風船のようにぴたりとつながっている。そのため “balloon flower” という英名を持つ。つぼみが徐々に緑から青紫にかわり裂けて6-9月に星型の花を咲かせる。雌雄同花だが雄性先熟で、雄しべから花粉が出ているが雌しべの柱頭が閉じた雄花期、花粉が失活して柱頭が開き他の花の花粉を待ち受ける雌花期がある。花冠は広鐘形で五裂、径4-5cm、雄しべ・雌しべ・花びらはそれぞれ5本である。
 なお、園芸品種には白や桃色の花をつけるものや、鉢植え向きの草丈が低いもの、二重咲きになる品種やつぼみの状態のままほとんど開かないものなどがある。