カインズホームが、花の新しい販売方法に取り組み始める(日本初上陸のペチュニアを販売)

 カインズホームの公式HPを是非ごらんいただきたい。震災直後から、「日本初上陸のペチュニアを限定発売します」というNews Releaseがトップページを飾っている。昨夜、友人の土屋裕雅社長と、東京四ツ谷三丁目の飲み屋さんで、遅くまでこの話題に花が咲いた。


おかげさまで、帰宅は夜中の2時すぎになってしまった。このメンバー(GRC)と飲むといつもこのようになる。一日早く、朝帰りだった。
 集会の趣旨は、GRC(群馬レーシングクラブ)の仲間が集まって、「前橋シティマラソン」が中止になった残念会を開くことだった。本来ならば、いまごろは、(群馬県)前橋市の街を勇躍と走っていたはずである。3千円の現金書留が戻ってきても、わたしたちはうれしくないぞ!
 その場では、その他の話題(9月の田沢湖マラソンに、仲間してリベンジエントリーする!)で盛り上がってはいたのだが、それにしても、新品種の「プリティマッチピカソ」のことを話す土屋さんは、いつにもましてご機嫌だった。
 というわけで、土屋社長に代わって、本ブログでは、わたしが新商品の宣伝を担当させていただくことにする。昨夜、飲んだときのお約束でもある。土屋さんは、今夜あたり、このブログを読むだろうから、きちんと約束も果たさなくては、、、
 
 現在、カインズのトップページにアップされている「ニュースリリース」を、以下にコピーペーストする。同社のHP(http://www.cainz.co.jp/)をご覧いただくとわかるが、4月に発売されたばかりの新商品は、海外で販売実績(昨年100万ポット)のあるペチュニアの新しい品種である。花苗の特定品種が、企業のトップページを飾っているのは、とてもめずらしいことである。
 ブランド名は、「プリティマッチピカソ」(小川の解釈:とても美しいピカソの絵、ちがうかな?)。花色と花姿が、ピカソの絵に似ているから、ということらしい。この商品はすぐれた特徴をもっているのだが、それだけではない。ホームセンターの取り組みとして、特異なマーケティングを展開している。
 以下で、やや詳しく説明してみる。
 
 まずは、商品特性についてである。プリティマッチピカソは、ペチュニアの改良種である。ペチュニアの良い特性(育てやすい)を持つと同時に、パープルにグリーンの縁取りの花柄は、従来のペチュニアにはなかったものである。
 わたしの主観かもしれないが、花のついた小さな鉢を手に取ると、心なしか心地よい微妙な匂いが漂ってくる。匂いのあるペチュニアなんて、いままであったのかな、と思ってしまった。

 新しい花苗の品種を、特定のホームセンターが独占販売するのも、これまた新しい試みである。PB商品の比率で30%超えを目指すカインズならではの仕掛けである。そして、これもホームセンターとしては考えられないことだが、花苗のCMをテレビでオンエアしている(詳しくは、ニュースリリースを参照のこと)。
 わずか!限定品10万ポット(今年度は限定発売)の花苗を売るために、数千万円をTVCMに投入しているのだ。経済的に採算ラインに乗る売上規模を考えると、来年くらいには、100万ポットを販売するつもりなのだろうか。そんな風に考えてしまうくらいの広告支出である。
 ひとつの花苗ブランドにこれほど多額の投資をするのは、共同プロモーションではない。単独でひとつのホームセンターが実施するのである。ずいぶん思い切った施策である。オーナーの若い社長だからできる、思い切った決断である。
 小売業が植物のテレビCMを流すというのは、夢のような話である。花業界としては、まだそれほど話題になっていないようだが。これまで最高に売れた花苗ブランドである「サフィニア」(サントリー)でさえできなかった偉業である。
 10年ほど前、春先に全国紙での全面カラー広告はあったが、あのサントリーでさえ、自社の花苗のためにメディアとしてテレビを使ったことはない。青バラのアプローズでも、それは実現できなかった。
 
 海外品種の国内独占販売というマーケティング手法(提携販売のスキーム)も、国内はじめてである。小さな規模のものは従来もあったのかもしれないが、来年度から先を見通すならば、推定100万~200万ポットを、ひとつのHCで独占的に売り込む方式でなる。
 少なくとも、日本にはこれまで例がない、新品種のプロモーションである。ユニクロのフリースやヒートテックを連想させる。
 価格設定も、従来のホームセンターの戦略とは逆である。ふつうの品質のコモディティ苗を、低価格で販売するのではない。ブランド苗のポリポットが、一鉢298円。ラベル付きで土の入った中鉢のほうは、498円の売価になる。
 要するに、プレミアムPBの位置づけである。メーカー品種よりも、カインズPB(HC専売品)ほうがむしろ高いくらいの売価設定である。 ピカソの発売で、花のPBラインである「優花シリーズ」が、これでグレードアップしていくだろう。

 土屋さんによると、4月7日に商品が店頭に並んで、11日にCMがオンエアされると、その週には予定の半分近くが売れてしまった。現在は、CMを止めなければならないくらいに、売れ行きがよいとのこと。連休前には「完売御礼」で、札止めをしなければならなくなりそうだ。
 来年に向けても、プリティマッチピカソは、楽しみは品種である。なんとなくだが、つぎの花苗の品種や近接のカテゴリーの商品も準備されているらしいニュアンスの発言があった。
 ガーデニングやインテリア植物の世界で、新しいマーケティングの試みを、ホームセンターがイニシアティブをとってはじめるのはすばらしいことである。ここしばらく、花業界がなしえなかった革新を、カインズという一企業が始めようとしている。
 今朝になって、玄関わきのプランターに、ピカソを4ポット植え込んだ。研究室の窓際にも、鉢のままで植えてある。南側の窓辺である。一週間もすると、栽培の結果が分かってくるはずである。ご報告したい。

 ところで、以前から、わたしのブログを土屋社長が読んでくれていることは知っていた。そうした中で、わたしが大震災直後にアップした、「チューリップ大作戦 大田市場の市況回復」(3月21日)などの記事を、土屋さんが見てくれていた。
 先月末は、土屋さんにとっては厳しい状況だった。東北地方の何店舗が被災している。復旧に時間がとられている中で、震災後の自粛ムードで、新しい品種の発売が迫っていた。
 震災直後だったから、「プリティマッチピカソ」のプレス発表(東京都江東区南砂町のカインズホームSUNAMOにて)は中止しようかと迷ったらしい。でも、「小川先生がブログに書かれていたチューリップの話(3月20日前後のブログ)などを読んで、こんなときだからこそ、花の新商品発表会はやってみることにしよう!と考えを固めた」と教えてくれた。
 花には人を励ます力がある。わたしは一貫してそう主張してきた。そして、花にまつわる仕事は、思いのほか、沈んだビジネスの空気に、エネルギーを注入してくれる。人間をいやすだけでなく、商売人の心を勇気づけるパワーもあると、わたしは思っている。

 ピカソに関するわたしのコメントは、やや不正確かもしれない。以下では、カインズのニュースリリースを、そのままに紹介する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(同社HPより引用)

「日本初上陸のペチュニアを限定発売」News Release
株式会社カインズ群馬県高崎市高関町380

カインズ独占品種「プリティマッチピカソ」
 
3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」被災地の皆様に謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地域の一日も早い復興を心より祈念いたします。

 全国175店舗のホームセンターをチェーン展開する株式会社カインズは、日本初上陸のペチュニア「プリティマッチピカソ」を新発売いたします。
 ペチュニアは、別名「ツクバネアサガオ」とも呼ばれ、色鮮やかな美しい花をたくさん咲かせることから、人気の高い園芸植物です。この「プリティマッチピカソ」は、全米で100万ポットの販売実績がある栄養系ペチュニアの新商品であり、日本国内においては、弊社だけの独占品種となります。また、ペチュニアには優しさや温かさにあふれる花言葉があり、心のこもった贈り物にもおすすめです。
 
—【商品の特徴】----------------------
①これまでのペチュニアにはない、パープルにグリーンの縁取りの花柄が人々の目を引きます。
「プリティマッチピカソ」の名前は、芸術界の革命的な象徴のピカソの名前に由来しています。これからのシーズンにぴったりのその色と花柄で、初夏の窓辺をさわやかに演出してくれる逸品です。
②暑さや雨などにも強い性質を持ち、どなたでも扱いやすいイージーケア商品です。
③花言葉「あなたと一緒なら心が和らぐ」・「心のやすらぎ」・「心がなごむ」など
----------------------------ーー-
 
※オンラインショップ及びお電話でのご注文はお受けしておりません。詳しくは、お近くの店舗までお問い合わせください。【商品概要】商品名ペチュニア「プリティマッチピカソ」売価298円販売数10万ポット(限定販売)発売日4月7日より、全店にて販売開始 ※4月11日より、商品のTVCMをオンエアいたします。