先週、フジテレビ系の番組制作子会社から、バラエティ番組への出演依頼があった。「お話だけでも」ということだったが、即刻お断りした。10年前ならいざしらず、今年で60歳。メディアに露出して有名になりたいという気持ちはすでにない。学者・作家として、気楽に人生を終わりたい。
出演依頼があった番組は、「ホンマでっか!?TV」である。わたしはテレビは見ないので、ほとんどのTV番組は出演者させしらない。明石家さんまが司会で、マツコ・デラックスさんなどが出演するとあった。このリストを見て、まずは引いてしまった。
別の人種である。放送時間帯は、毎週水曜日の21:00~21:54だから、ゴールデンタイムである。視聴率は高いのだろう。でも、20年前からテレビの作り方にはなんの進化もない。
番組内容の説明書きには、「身近な話題をテーマに、「それ本当!?」という新情報・珍情報を、評論家の先生方に語っていただく番組です。スタジオには毎回、科学・環境・経済・心理・教育・脳科学といったあらゆるジャンルのプロフェッショナルが勢ぞろい。明石家さんまさんと権威ある先生方との絶妙な掛け合いも、番組の見どころとなっています」とあった。
専門家として、白羽の矢を立てていただいたのだろう。番組の中で、「お金の落とし穴」というテーマでのトークを企画を考えているらしく、マーケティング学者としてのご指名である。ありがいことだ。一応は、著名な専門家として話をするという設定だった。
しかしである。「わたしでなく、どなたか他のかたを」ということでお断りをした。 秘書の福尾や妻などは、「知名度があがれば、本もたくさん売れていいのに、、、」ともったいながった。でも、「有名税」もある。有名になって顔を知られてしまえば、レストランでゆっくり食事もできなくなる。それは、絶対にいやである。
たとえば、弟子の八塩圭子(学習院大学客員准教授)とレストランで食事をすることがある。そんなときには、あまり気持ちが落ち着かない。わたしのMBAのゼミ生だった八塩さんは、「土曜めざましテレビ」などに出演していた。だから、たいていの人は、彼女の顔を知っている。
隣の客の視線を感じてしまうのだ。そうはなりたくはない。ふつうの生活ができるのが一番良いのだ。すいません。八塩さん。
別に、八塩さんと一緒に食事をするのがいやだというわけでないのですうよ。目立たない生活がいちばんだよね、というなのことです。
わたしくらいの年齢になると、有名になりたくなくて、テレビ出演をお断りするひとも多いのではないだろうか。