「SUNDAY NIKKEI」の読書欄に、「しまむらとヤオコー」が紹介されていました。編集委員の田中陽さん(流通経済部)が書いてくださったものと思われます。記事を見たヤオコーの川野幸夫会長から、朝早くに電話をいただきました。うれしそうでした。
読書欄の記事を引用します。サイズは中くらい、二段でした。日経のインパクトは、思いのほか大きいようです。自分の本が、こんなに売れるのを見るのは、はじめての経験です。
掲載日(日曜日)には、ネット書店の在庫が一晩で払底してしまいました。とくにアマゾンでは、昨夜から総合ランキング(全書籍)が、300位をキープしています。
もう在庫がありません。それでもランクが落ちないのは、仮受注(バックオーダー)をたくさん抱えているということです。中古本も、どんどん売れていくのがわかります。
小学館の園田さんによると、「(両社のおひざ元の)埼玉県の大手書店からは、数十冊単位で予約が来ている」そうです。朝日新聞や日本経済新聞の読書欄で紹介された書籍は、店頭に特別にスペースをとって陳列されます。その影響かと思われます。
先週の『週刊エコノミスト』(石井先生)といい、今週の日本経済新聞(田中陽さん)といい、ずいぶんと好意的に書いてもらっています。ありがたいことです。
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『しまむらとヤオコー』小川孔輔著
(2011年3月27日、日本経済新聞社、16面、読書欄)
個人消費が盛り上がらない中で長年、着実に成長している2つの中堅流通企業の経営戦略をドキュメンタリータッチで描いている。マーケティング、経営学の分野で著名な学者である著者が実業の世界に足を運んで取材した。
衣料チェーンのしまむら、食品スーパーのヤオコーはともに埼玉県の小さな町で産声を上げた。東京や大阪のように肥沃な消費地と違い、厳しい事業環境に置かれながら独自のビジネスモデルを構築するまでの悪戦苦闘の物語だ。
地方発の小売業がなぜ強いのか。まずは女性の活用にある。無名な会社は採用にも苦労するが、両社が頼ったのが地元に住む主婦たち。パート採用すると則戦力になった。運動会など地域の歳時に精通した彼女たちは試行錯誤を繰り返しながら地域密着型の品ぞろえ、売り場作りに挑戦する。大手流通業が実践する中央集権型の店舗運営と一線を画したことが奏功。事業基盤を作った。
この2社には中興の祖となる人物がいる。経営数値に明るいのは当然だが、働く女性に優しいユニークな人事制度の創設に注力する。女性のやる気を引き出し正社員への道を開き、優秀な女性が家庭の事情などで会社を辞めることがないようにした。経営資源の乏しい中堅企業が編み出した柔軟性のある組織がさらに活力を生む。小売りの基礎が学べる。
(小学館・1400円)