「青山こころ庭、最後のイブニングセミナー」(JFMAニュース、10月号の巻頭言)

 松島専務から、「先生、巻頭言の原稿をHPに載せないで!」と注意を受けている。今回は、会報の発刊から一週間がすぎているので、同じ原稿をここにアップさせていただく。イブニングセミナーの会場だった「青山 こころ庭」が、今月で店じまいすることになった。そのお知らせである。


「青山こころ亭、最後のイブニングセミナー」『JFMAニュース』2010年10月号

 JFMAが主催するセミナーの中で、勉強会とは無関係なセミナーがひとつだけある。7年前に、会員の相互交流のために始めた「イブニングセミナー」@青山こころ庭、である。最初に言い出したのは、井上英明理事(青山フラワーマーケット社長)だったような記憶があるが、正確なところはわからない。松島専務理事の時代になってからは、参加者の数が増えてきていた。最近では、第2火曜日(午後6時半から)のセミナーへの参加者の数は、いつも20人を超える月が続いている。

 ところが、セミナー会場として長年使ってきた「青山こころ庭」が、今月(10月)を持って店じまいをすることになった。現在の場所での営業休止が、その理由である。ただし、12月からは、表参道駅から多少は離れるが、近くに店を移して営業を再開するらしい。2010年末の「忘年会」は、新しい場所での開催となるはずである。

 いまでも鮮烈に思い出すのは、角田ナーセリーの角田社長が、「青山こころ庭」にノートを持参して現れた瞬間である。たしか、IFEXがはじまる前年だったから、2003年秋のことだったと思う。
 その年の夏休みに、取材で角田ナーサリーを訪問した。その後すぐに、会員になっていただいた角田さんに、わたしから、お声掛けをしたのだった。「明晩、東京の青山でイブニングセミナーがあります。よろしかったらどうぞ、参加ください」。当時は、毎月第一水曜日の開催で、勉強熱心な角田さんは、わざわざ新幹線に乗って名古屋から東京青山まで、夜のセミナーに駆けつけてくれたのだった。
 ところが、ビルの地下の居酒屋(こころ庭)ではじまった集会には、特別なプログラムは用意されていない。いつまでたっても、当日の講師は現れない。イブニングセミナーは、「会員交流のための飲み会」で、ノートも鉛筆も必要なかったのだ。角田さんは、怪訝な顔をされて、遠慮がちに、取り出したノートをカバンにしまわれたことを思い出す。「すみません、角田ママ! 説明が不足していましたね」(小川より謝罪の言葉)。

 会員相互のアルコール交流が、これだけ長きに渡って続いてきたのは、なぜなのだろうか? そう思うことがしばしばある。
 わたしよりも出席率が高い方も、ここ数年で何人か現れている。花き振興室から異動になっていまはセミナーに出席できなくなった、農水省の小林さん(13回連続参加の大記録樹立)。
 ブルームネット(君津)の杉谷さんと鳥海さんは、冬の繁忙期を除くと、ほぼ完全出席の常連さんである。こころ庭に彼らのグループがいないと、なんとなく違和感があるくらいの熱心な参加者である。内緒の話だが、ある日のイブニングセミナーをきっかけに、会員同士で新しいビジネスがはじまった例もある。
 あの場所での最後のイブニングセミナーが、昨晩、14人の参加でひっそりと開かれた。わたしから、こころ庭の女主人さんに、感謝の意を込めて、花束をプレゼントした。
 「長い間、わたしどもに懇親の場所を提供していただき、また、たくさんのわがままを、聞き入れていただき、ありがとうございました。新しい場所で、また、よろしくお願いします」。