オランダ便り(山本清子さんより): 今年の夏は、オランダからの切り花の輸出は好調

 恒例になった、山本さんからのオランダ情報である。「夏にもかかわらず、切り花、鉢物の輸出高が6%も上昇し、€31億(約4000億円)となる」というタイトルの報告である。

 2010年8月16日 (オランダからの)切り花、鉢物の7月の輸出は、2%の減少で、期待に背く月であった。7月までは、輸出高は、それでも、ほぼ6%上昇し、€31億になったとのことが、AalsmeerのHBAG(産業管理機構.農業卸売業)の毎月輸出統計により判明した。
 
 夏の気候では、ほとんどヨーロッパ全体において、切り花、鉢物の需要への重圧が、例年より重くのしかかった。とくに、鉢物の輸出が減退したが、切花の輸出高は安定している。市場地域と販売セグメントにより、かなりちがいがあることが、輸出卸商の販売結果でも確認されている。いまのままの状態がそのまま続くとすると、今年の輸出高は、2008年と同レベルとなると見られる。
 切り花、鉢物の消費は気候に影響されるが、2010年は、他の年より影響が強くなるようである。
 今年の初めの月は、卸業と小売業は、長期に及んだ冬の気候の影響で、消費者が切り花、鉢物の消費を控えた。7月は、高温で致命的な打撃を受け(今年で3度目)、2009年よりも輸出売り上げが縮小した。他の4カ月は、悪くはなかったが、とくに3月は、22%の上昇を見た。これは、春は早めに到来したことの結果である。

 経済恐慌は過ぎたが、回復はまだ弱い
 多くの専門化によると、経済恐慌が過ぎ去ったとのことではあるが、消費者の信頼への回復はまだ弱い。消費者の行動を見ていると、価格の高い高級な切花やブーケにはまだ売れていない。
 ギフト業界では、他の製品との競合が大きく、業務用市場では、個人販売よりさらに価格圧力が大きい。卸商、小売商、小売店では、販売を維持するためには、独創性、創造性を期待する。それとともに、サービスを拡大することで、オランダの輸出卸商は、この点での努力を惜しんではいない。
 その他に、各国、販売地域、市場セグメントによって大きな違いがあるので、支払態度、債務方針に多くの関心を払うことである。
 製品の品質、品種の幅広さや深さ、常に入手できる可能性等の事項も国際競合におけるオランダにとっての重要事項である。
  「収益、成果に重圧がかかっているにもかかわらず、基礎価値としてしめされているものを維持しなければ、オランダの競合的地位にとっては、致命的なものとなる。
市場の構造的回復とこのための、さらに良い価格構成は、製品や商業不可欠なものである」と、HBAG(産業管理機構.農業卸売業)が、語っている。

 切り花、鉢物の年間成長
 7月の切り花の輸出額は、去年と同じレベルであった。
対前年比(%)をみると、ドイツとフランスは下落。英国が、その反対に7%の伸びをみた。7月までは、トップの5つの販売先国は、この製品グループ(切り花、鉢物)において、安定して伸びた。合計では、切り花の輸出が6%伸びている。7月までの鉢物の輸出額は、それと全く同じ率の上昇をみた。
 現状の切り花、鉢物の輸出の上昇率を維持すると、今年は、2008年と同じ売上高となる見込みである。これは、€51億(約6千億円)と、経済恐慌に突入する前の最後の年である2007年の記録よりは5%少ない。
 「この経済恐慌の影響は、とくに融資の点については、まだ輸出にとっては、重圧としてのしかかっている。同時に、消費者は、信用が少なくなったにもかかわらず、常に切り花、鉢物を購入する。これが、切り花、鉢物業界の成長の可能性を強調する」と、HBAGがコメントしている。