山本清子さんから、HBAGのレポート(2009年12月14日)が届いた。原文のリード文は、「切り花、鉢物輸出の対前年における減少幅が徐々に縮小」とある。オランダからの花の輸出は、一時期は「前年比15%以上の減少」の状態だったが、年間を通してみれば、今年は最悪の事態は免れているようである。とくに、鉢物とドイツ向けの輸出が堅調である。
オランダからの切り花・鉢物の輸出額は、11月までの累計でほぼ€45億(日本円で約6000億円)となった。2008年と比較すると、これは4%の減少である。下落幅は小さくなったが、構造的な復活に急速に事態が変わることは疑問視されている。今年の11月は、1年ぶりに、切り花、鉢物、花壇苗に伸びがみられた。
以上は、アルスメールのHBAG(切り花、鉢物の輸出統計)により明らかになったデータである。とくに、英国(ポンド)やロシア(ルーブル)の為替レートの下落の影響で、輸出は元に戻っていない。需要が減退することとも絡めて、切り花と鉢物の輸出は、困難な状況が続いている。価格割引や専門化、さらには販売努力の拡大に、オランダの輸出業者は集中すべきである。
長期にわたって販売不振が続いたが、今年になってはじめて、11月は輸出額がプラスに転じた。2ヶ月連続で、対前年比で増加の月が続いている(?)。ただし、これは、大変に脆いものである。
11月の切り花輸出額は、€2億3300万である。前年比では、わずかながら増加となった。11月までの累計で、昨年比ではまだ8%減少になっている。合計額は、€28億である。鉢物、花壇苗の輸出額は、6ヶ月連続で増加しており、€1億3300万と去年と比べ2%強も金額が大きい。
11月までの合計では、ほぼ2%増になる。金額ベースでは、約€18億である。現状の傾向が続けば、今年の第4期四半期の輸出売上額は、プラスで終わる。去年の第4期は、輸出額は8%減少していた。 減少率は、今年の第4四半期には、拡大し、12%の下落となった。今年の中期には、減少幅が6%となった。
<価格への重圧が続く>
売上額の数値は、切り花、鉢物の輸出の先行きを判断する数値であるが、これを慎重に解釈しなければならない。貿易にとって重要な通貨であるポンド、ルーブル、ゾロティ(?)、ドルの為替相場が下降した影響がまだ残っている。為替の急激な下落による需要減少は、オランダの輸出にとって4%ぐらいであろうと考えられる。さらに、国際的な花き販売の競合関係が、低いドルレートにより変化した。
為替からの重圧の上に、経済恐慌による結果、販売が限定され、消費者がお金を消費しない状態になっている。価格要因による需要減退は、かなり厳しく、切り花では10%、鉢物はほぼ4%と推測できる。低い価格の花から、より価値の高い鉢物、付加価値のある花へと品揃えを変化させようとする傾向が、わずかながら見られる。しかし、低価格により市場が拡張した結果として、高付加価値化への品揃えの変化は効果がほとんど無く、現状では限定されたものになっている。
オランダの市場はうまく機能している。というのは、切り花と鉢物のセリ市場では、せり時計が空回りする率が少ない(注:最低価格で廃棄に回ること)。これは、輸出の縮小が少ないのか、部分的な市場(ディスカウント市場?)で大量に販売されていることを示すものである。
<成長市場より多い縮小市場>
オランダにとって重要な販売先は、非ユーロ国である。11月までに、これらの販売先は縮小傾向が大きかった。具体的に見てみよう。
英国(-13% € 5億9800万 )、 ロシア (-25% € 1億2400万)、 ポーランド (-10% € 1億2000万), スエーデン(-12% € 8900万)、 アイルランド(-20% 4900万)。
輸出金額のトップ25カ国のうち、3ヶ国がプラスである。 フィンランド(+5% € 3600万)、 チェコ(+8% € 6600万) 。先頭を切るドイツ (+4% € 14億)、ドイツへの輸出売上額は、この5年来安定している。1999年から2008年までは、国別の輸出シェアが、39%から29%へ落下していた。ただし、現状の伸び率は4%なので、ドイツ向けの国別シェアは32%まで上昇した。
卸業者は、専門性を高めて、販売努力の拡大により、成長を実現すべきであることを理解している。その他の部分市場においても、良い結果が見られたが、それは限定されたものである。オランダの卸業者は直ぐに、価格政策、緊密な協力関係,量的な拡大へと急速に舵を切った。輸出業者として地位の維持達成を目標としている。
「もし市場が再び蘇ることで、利益を獲得できる基礎が強化された。しかし、それには、大いなる努力が要求される」と、HBAG Bloemen en Planten.が語った。
出典:HBAG(山本清子氏からの情報)