MPSジャパンが実施した2009年度版の「野菜と環境に関する調査」がまとまった、昨年に続いて二回目の調査になる。目次と結果をHPに掲載する。「花と環境に関する調査」も同時に調査結果が集計されている。こちらのほうも、近々、JFMAから発表になる。偶然にも、本日(10月7日)から9日まで、東京ビッグサイトで、「オーガニックEXPO」が開催される。あいにくの雨だが、午前中から参加の予定である。
野菜と環境に関する調査(2009年度版)
MPSジャパン株式会社 2009年9月
目次
1. 調査目的と方法 3
2.調査結果 4
2.1 環境配慮ラベルに関する認知 4
2.1.1. 8つの環境配慮ラベルに関する認知 4
2.1.2. 野菜の認証ラベル認知度(有機JAS) 5
2.2. 野菜の購入に関する意識と行動 6
2.2.1. 野菜の表示 重視点 6
2.2.2. 野菜の産地 国産と外国産 6
2.2.3. 虫食いの許容度 8
2.2.4. 野菜の栽培状況に関する意識 8
2.2.5. 環境配慮の意識 9
2.3.6. 環境配慮野菜への支払意思額 9
3.結論 11
参考資料 12
環境配慮ラベルの説明 12
1. 調査目的と方法
目的:本調査は、MPS(花き産業総合認証)に関する研究の一環として行われた。野菜に環境認証を導入することを想定し、消費者のニーズを把握することを目的とする。ほぼ同様の調査を2008年にも行っていることから、時系列でのトレンドの変化も観測する。
調査期間:2009年7月21~22日
調査方法:インターネットアンケート
調査機関:株式会社マクロミル
調査表作成および分析:MPSジャパン株式会社
日本国内の20代から50代のインターネットモニター520人を対象に調査を行った。男女の比率、年代はほぼ均等になるように設定された。又、都道府県別、職業別でも、データが極端に偏らないように配分されている。
3.結論
環境ラベルの認知度を調べると、消費者にとって、さまざまな環境配慮ラベルを認識し、その意味まで理解することは簡単ではないことがわかる。エコマーク、グリーンマーク以外の全ての環境配慮ラベルは、回答者の半数以上が知らなかった。野菜に関連する認証ラベルである「有機JAS」の認知度は、「見たことがある」27.5%、「意味が分かる」が12.5%である。6割は「知らない」と答えている。
野菜の購入に関する意識についての調査では、まず、2009年は、2008年と比べて、全体的に表示への重視度が若干下がっていることが目についた。最も重視される情報は「産地」で、約半数の人が、最重視点として挙げている。次いで「品種」が、17.1%とつづく。有機JASなど認証マークを最重要視する人の割合は、下がっている。
国産志向の度合いについては、野菜に関しては、82.3%の人が、購入するときは「必ず国産」または、「できるだけ国産」と回答した。対照的に、花に関しては66.5%が、「国産、外国産にこだわらない」と答えている。野菜は、直接口にするものだけに、地産地消、安全・安心など、花とは違い、「環境」だけでは説明できない価値の次元があると想定できる。
国産志向の強い回答者は全体に表示を重要視しているが、生産者名や品種の他、有機JASなど認証に対する重視度も比較的高い。認証は、全般的な重視度では産地や品種に及ばないものの、国産志向の強い消費者からは、一定の評価がなされていると考えられる。 農産物に関する環境ラベルである有機JASとMPSの認知者は、より一般的な環境ラベルであるエコラベルと比べると、他より国産志向が強い。MPSは認知者の母数が少ないが、「意味が分かる」人で「国産、外国産にこだわらない」(野菜)と答えた人はゼロで、花でも国産志向がある。
一方、一般に幅広く認知されているエコラベルの場合、「知らない」回答者の方が「必ず国産を購入」と答える比率が高い。一口に国産志向といっても、情報感度の高い消費者と、低い消費者の二極があるのではないかと考えられる。
「野菜の栽培情報」(使用農薬、肥料使用量などの生産状況に関する情報)に関しては、76.7%が「知りたい」と回答した。概して男性の方が、栽培情報ニーズが高い傾向にある。
「環境に配慮した野菜」であることを購入時に重視するかどうかを尋ねると、半数以上が「重視する」または「どちらかというと重視する」と答えた。特に女性では、年齢層が上がるごとに、環境に配慮した野菜の重視度が上がることがわかった。
ただし、以上のような環境重視の意識が、購買行動に実際に反映されるかどうかは、若干疑問が残る。消費者の多くは「環境重視」だけでは野菜にプレミアム価格を払う意思はなく、現実的には慣行品の10%増程度までである。
結論として、野菜の環境認証の導入には一定のニーズがあると思われる。ただし、その普及には、環境配慮であること以外に、表示に関してニーズの高い「産地」や「品種」の情報、および「国産」であることなど、野菜に関する複数の価値の次元を見極め、消費者の情報感度の違いを考慮した複合的な視点が必要と思われる。