「MPSトレード」(流通認証)の審査に同行した。昨日(11月24日)のことである。場所は、都営三田線が走っている新高島平駅(東京都板橋区)。MPSの参加社である「㈱東日本板橋花き」は、駅から歩いて5分のところにある。11月末である。さすがに肌寒い。
板橋市場は、昨年度すでに流通認証(GPA)を取得済みである。今年度は、最初の認証更新年にあたる。昨年度、審査を担当した江川雅徳審査官(エーカスジャパン所属)と、今年度はじめて審査を担当する森山貴子審査官(フリー)は、前日(23日)から板橋市場に入っていた。駅まで迎えに来てくれた江川さんから、歩きながら、前日の実地審査の様子を伺った。
「実地審査は、樋口利一社長(経営トップ)との面談ではじまります。昨日は、会社の全般的な方針を伺いました」(江川審査官)。江川さんのメモによると、板橋市場が目指すところは、①売上増、②産地開拓、③鮮度保持、の3つである。花の市場がMPS認証を取得する目的は、こうした企業目標を念頭に入れたうえで、顧客(買参人)に対して良い品質の商品を適時に届ける仕組みを作ることである。認証の更新は、認証を受けたマネジメントのシステムがきちんと維持されていることを確認しつつ、経営システムが日々改善されていることを助けるためである。
MPSの実地審査では、申請書類を見ながら、「要求事項」(100項目以上)をひとつひとつチェックしていく。ふたりの審査官は、販売現場(セリ場)や情報システム部、総務部(人事管理など)の担当者をインタビューしながら、実施状況を確認していく。要求事項がきちんと実施されていない場合は、「是正勧告」が出される。決定的な勧告は、ただちに是正されないと最終的な認証がおりない。
総務部の丸山憲部長と大河内友規子課長が中心になって、MPSの実地面談に対応していただいた。MPSトレードは、経営システムを改善するための手段である。午前中のインタビューで、丸山総務部長が、わたしたちに興味深い感想を述べてくださった。「MPSをはじめてから、社員がホウレンソウ(報告、連絡、相談)を徹底できるようになった」。MPSでは、文書化と組織内でのコミュニケーションの促進を推奨している。板橋市場では、二年目に入って、MPSに目的意識をもって取り組むことで、社内の情報交換と意識改革が進んでいる。
樋口博紀営業部長のMPSに対するコメントと感想である。「MPSに取り組んでから、生産者に対する説明が楽になりましたね」。MPSに取り組んだことで、市場が産地や買参人のために何をしなければならないのか、逆に、産地に何を求めるべきかの目標が明確になったという。