未完の書籍、新たな出版の仕事が、、、

これほど、たくさん仕事(在庫)を抱えている上に、また、新たな出版の企画が舞い込んできた。ある放送局系の出版社から、「花と日本人(仮)」というタイトルで、日本の花文化とグローバルに展開しているフラワービジネスの現状とその現代的な解釈について、本を書いてもらえないかという依頼である。


考えてみると、単独の著書としては、1991年に『世界のフラワービジネス』(日刊工業新聞社)を出して以来、産業として花ビジネスを扱った本は書いていない。『花ビジネスで成功する法』(草土出版社、1996)も『花を売り技術』(誠文堂新光社,2005)も、花の文化論ではない。つまるところ、ルポルタージュとハウツー本である。
 花の産業論と文化論の際は、わたしにとってはまだ、ライフワークとして残されている分野である。2000年に、JFMAを発足させた。それ以降は、協会活動の振興を第一に著作を準備してきた。取材や集会で得た知識は、あるいは、MPS(花き産業の認証プログラム)やIFEX(国際展示会)の事業で得られた実務的な情報は、JFMAの事業を中心に情報を発信してきた。オリジナルを加工したり、特別に解釈を加えたりしないで、そのまま素材で提供してきた。
 JFMAを組織して10年。そろそろ、活動の総括をすべきときが来ている。単なる総括ではなく、わたしが見て話してきた人たちの姿を、花産業論と文化論の枠組みのなかで再構成する責任があるのではないか?そう思っていたところへ、願ってもないチャンスが、飛び込んできた。今回の出版企画は、その絶好の機会になるのではないか?
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 MJ(日経流通新聞)で、流通ブランドイメージ調査で第3位を獲得した「青山フラワーマーケット」の誕生と成長。花良品(無印の花部門門)、モンソーフラワー、サザビーの花部門(JP)との競争。種苗会社としてのキリンとサントリーの花事業への参入。青いバラの開発秘話。ガーデニングブームから家庭園芸ブームへ、カインズの躍進やドンキホーテによるドイトの買収劇の裏側。
 海外の日系人(タイチェンマイの斉藤さん、カリフォルニアの松井さん)の活躍。英国の量販店での花販売の仕組みとアフリカ大陸の位置。コロンビアやケニアから、日本に向かう切り花。中国、韓国、マレーシア、インド、ベトナムからの切り花の輸入。そして、日本の花生産者の未来。
 人間の心に及ぼす花の意味。草月琉の師範代、州村先生が主張する「走ることと花に触れることの近接性」。日本の花き研究所の研究成果、ハーバード大学のエトコフ博士の研究。わたしたちが取り組んでいる「切り花の鮮度保証販売」や「MPS」の役割。たぶん、素材には事欠かないだろう。