木村純子先生から聞いた話である。ご自分のゼミ生が、おもしろいことを言っていた、と。「PCでファイル管理をするときに、男の子はファイルとフォルダーをどんどん増やしていくのに、女子はファイルを増やさないんです」。旧いドキュメントに上書きしていくからである。女性の場合は、ファイルも新しい引き出しも増えない。そういうことらしい。これを「女性の上書き性向」と呼ぶことにしよう。男は・・
この話が飛び出してきたのは、ポストモダンの消費論で、「消費の意味」と「関係性/コミュニケーション」というネタを、純子先生と議論(対談)していたときである。木村先生のメールをそのまま引用します。またしても・・・許してください。
「小川先生がおっしゃるとおり、ギフトそのものに記号論的意味があります(4月5日のHP参照)。ですから、ギフトを通じて、コミュニケーションできるのですよね。
(a)コミュニケーション(ギフト)を通じて、人々は、主体間の関係性を構築したり強化します。(解釈アプローチは「関係性」をとても大事な概念と見なしています。)
(b)関係性によって、ギフトの意味は変わります。
意味を決めるのは受け手です。男性は、別れた彼女からのプレゼントを持ち続ける方が多いようです。
私は、すぐに捨てます。関係性が変わると(恋人→私の中で存在がなくなる人)、プレゼントされたギフトの意味も変わる(宝物→見たり触れたりしたくないモノ)からです」
あぅ、うん、きたきた。この文章、納得です。女性の心理がよくわかります。それに比べて、男どもは、過去に引きずられて生きているウエットで哀しい存在です。わたしなどは・・・宝箱と秘密の小部屋を・・・。
そういえば、1991年に書いた『世界のフラワービジネス』(日刊工業新聞社)に、「女は切り花、男は鉢物」というエピソードをのっけました。男性と女性に花をプレゼントするとします。「切花と鉢物のどちらがほしいですか?」とたずねると、10中8,9、女性は即座に切り花を選びます。男は、長い時間かけて迷ったあげく、鉢物を選ぶ可能性が高い。そういう話でした。切り花は、枯れてしまえば残らないものです。
女性は、わたしたちとの楽しい思い出も、上書きをしてしまうのでしょうか? わたしども男性はどれでも同じ、交換可能な存在なのですね。なんか、さみしいです。
もしかしてファイルが壊れたりするかも。そんなこと、女性の皆さんは、お気になさらないのですね。きっとそうです。「(関係や存在が)壊れたら壊れたで、最初から出直せばいい!」
そのように、彼女たちはお考えのようです。またしても深く納得させられました。