オランダ便り:#2(JFMAオランダ駐在顧問:山本清子さんより),

本日4本目のHPへのアップになる。全部の記事が、カテゴリーが異なるので、すべて別の記事として分けて掲載する。 JFMA顧問の山本清子さんから、3月17日付けの「HBAG(オランダ花卉卸業協会)」の報告が送られてきた。前回に続いて、オランダの厳しい状況が生生しく伝えられている。オランダ花産業の現況は、しだいに深刻さを増しているようだ。以下、オリジナルの訳文を、整形して紹介する。


今年(2009年)に入って最初の2ヶ月は、オランダの花卉輸出額は、€8億1400万(1ユーロ=約130円:3月23日)となっている。これは、去年と比較し19%少ない金額である。「去年(2008年)の2月の後は、12%の成長が見られた」とHBAGのアルスメール(支部)は報告している。2008年2月は、異常に良い年であった。
 輸出は、2007年と比較して、先月(1月)は8%減少した。輸出高は、今年は、全成長市場に対してユーロが高く、金融が逼迫していたことが理由で、需要が失われてしまった。2月までは、切り花の輸出減少が20%、鉢物と花壇苗は15%と、大幅に減少した。卸売り業界では、この難しい状態を、経費の節減や債務管理、顧客との密な協力関係を作り上げること、あるいは、従業員の尽力により、切り抜けていくつもりである。

 1月に10%以上の需要が縮小した後で、切花の輸出額は、先月(2月)には、26%減少した。これは、2009年の合計額にすると、€5億4500万となる。去年と比較して、輸出が20%減少したことになる。
 鉢物と花壇苗はそれでも少しは良い状態である。1月には3%の減少、2月には23%減少で、金額にして€2億6900万だった。これは、2008年と比較すると、15%の減少となる。HBAGによると、昨年(2008年)の2月は、輸出高が23%上がり、大幅な上昇を見せていた。これは、例えば、女性の日(国際婦人デー)、早い英国の母の日のように(注釈:イギリスの母の日は2月である)、祭日が同じ日になったことと、納品にとって最高の気候条件であったことによるものである。
 去年の2月以降、オランダにとって全ての重要な販売地域で、切り花と鉢物の輸出は停滞した。大きな成長市場として、それ以降(今年まで)、例えば、英国では、去年の春から、ロシアやポーランド(東欧地区)では、去年の暮れごろから今年の初めにかけて、市場が急速に縮小している。

 <成長市場が急転>
 切り花と鉢物の販売が減少したのは、世界経済恐慌とそれによる消費者の信頼消失より前に始まった現象のように見える。
 スペインでは、2008年の春より、消費が減少している。英国においては、消費者への信用が減退することにより、需要が徐々に減少した。そのことは、去年の2月の母の日の販売で、既に明らかになっていたことである。その傾向は、英国ポンドの価値落下により、さらに加速された。
 2007年の輸出高は7%上昇して、金額では€9億3500万であった。それが、去年(2008年)は18%減少して、輸出金額が€7億6600万に落ちている。今年は、この縮小幅がさらに大きく強くなり、2月までに英国への輸出高は、2008年と比較して43%も低下して、英国向けは€9600万になった。
 2008年においては、ロシアはまだ18%の成長を見込んでいる。€1億7800万であった。
去年の後半期、ロシアのルーブルの価値が落ちた。今年1月には、さらに下落幅が大きくなった。最初の2ヶ月で、輸出は31%減少し、€4000万となっている。ポーランドのズロティー(?)も、今年は成長市場から方向を変え、31%減の€2000万となった。
 オランダの切り花と鉢物の輸出の減少が,全ての国向けについてそうであったことが、HBAGの統計で判明している。花きの輸出されている111カ国のうち、19カ国でのみ、対前年比でプラスになった。ところが、これらの国々は、合計輸出高のわずか5%を占めるだけである。とくに、一番大きい買い手であるのは、13番目の国のチェコである。

 <長期に渡る冬期>
 経済後退とユーロの高い為替レートの組み合わせにより、以前は成長市場だった国々で、販売は壊滅状態にある。その他の販売市場である北西ユーロッパでは、切り花や鉢物のよう様な傷つきやすい新鮮な製品の販売には、経済恐慌と長期に渡たる冬の季候が障害になった。
 全市場において、債務保険と財務が困難であった。この恐慌から早急に脱皮するため、政府または銀行関係からの対策が得られなかった。状況がきびしいという根拠が明らかだったにも拘らずである。
 輸出業者は、経費や債務の管理について、さらに用心深くなっている。顧客と協力して、販売がプラスの曲線を描くように、創造的な解決法を探している。また、従業員間でも互いに協力しながら、前向きに気持ちを高めようとしているように見える。
 低価格で提供される切り花や鉢物は、一般の人たちにも幅広く手が届く。なので、この恐慌は、市場の建て直しや、拡張の機会を提供するだろう。春が徐々に近づいている。上向きになる植物市場で、切り花の販売もその後を追いすぐに勢いがつくことを望むのみである。