展示会を主催することの効用:フローラルイノベーション2021の総括

 JFMAがIFEX(国際フラワーEXPO)@幕張メッセから撤退して、全国の花生産者や花店の皆さんと出会う貴重な機会を失った。その3年後(2019年秋)に、フローラルイノベーションの開催主宰者となり、ふたたび展示会ビジネスの拠点を持つことになった。2021年も、出展者はやや減少したものの、無事に3日間の展示会を終えることができた。

 

 アグリ関係(農業資材)の展示会なので、花の出展スペースは限られている。コロナ明けとはいえ、全国からやってくる花関係の来場者は、完全に回復しているとは思えなかった。それでも、本体のアグリイノベーションの出展小間数は、見たところ昨年の2倍には広がっていた。

 昨年からの大きな変化は、大学の研究室とベンチャーのブースがにぎわっていたことだった。ドローンやDX、草刈りや鳥獣駆除をテーマにしたエリアは、農業の効率とデジタル化をテーマに据えて、これも思った以上ににぎわっていた。農業分野でデジタル化と作業効率化が大きなテーマであることは間違いない。

 わたしたちのエリア(フローラルイノベーション)には、常連のインパック(包装資材)、日比谷花壇(自販機とサブスク)、大田花き(花のスマート規格)などに出展していただいた。近くには、住化さんなど園芸メーカーも出展しているので、そこそこの存在感はあったように思う。

 

 わたしのセミナーのテーマは、「これからの花産業」だった。レジュメと予言については、二日目の朝にブログにアップした。初日の午後に講演は行われたのだが、セミナーは約60人が聴講してくださった。当たるかどうかわからない「小川教授の大胆予言」(5つのトレンド)に耳を傾けてくださっていた。

 そのうちの何人かは、セミナー後にJFMAのブースを訪問してくださった。後日、研究室に相談のため来室することを約束している。セミナー後の反響の大きさは、これまでになかったことである。セミナー後に多くの方と名刺交換をした。数人はブースを訪問してくださり、直接話す機会を得た。異業種やスタートアップのかたがほとんどだった。

 

 わたしは三日目まで、青海海上のJFMA・MPSブースにつめていた。スタートアップの若者など、数人に直接対応することになった。おもしろかったのは、ユニクロの元パターンナーで、独立して花屋で洋服を販売してみたいという女性がいたことだった。最初は荒唐無稽な話だと思って聞いていたが、そもそも花恋人(@奈良県)では、フラワー雑貨がよく売れている。フェミニンな花柄の洋服が花屋で売られていてもそんなに違和感はないと思った。

 その場で、Karendoの鈴木君(取締役)を彼女に電話で紹介してあげた。鈴木君は、ストライプ・インターナショナル(岡山の服飾チェーン)でメゾンドフルールの事業部長だった元大学院生である。花屋で傘を売ることを思い付いて提案した。カレンドで傘がよく売れていることは、初日の講演でも話している。全国の20数店舗で6月には800本もの傘が売れた。

  

 そのほかに、東京ビッグサイトの青海会場(夕方からの懇親会を含む)では、福岡のITスタートアップ企業、京都の花屋さん、秋田のJA羽後の職員さんなどとも話すことができた。やはり、組織として展示会を開催することのメリットは大きい。花業界にコミュニケーションの場を提供することは当然のこととして、この場で異業種との橋渡し役をすることもできる。

 また、私自身も、新しい風を感じる機会を得ることができた。来年は、フローラルイノベーションの主催者になって4年目になる。キャズムは何とか超えたが、ここからが正念場である。あたらしい出展社を呼び込む努力が必要だろう。

 今年も、充実した展示会の三日間だった。展示会に参加してくださった皆さんに感謝したい。