池内計司『「つらぬく」経営』エクスナレッジ(★★★★)

いましがた、池内さんの著書『つらぬく経営』を読み終えた。とても面白かった!中小企業経営者や生産者の方たちには、是非一読をお勧めする。企業再生の物語ではあるが、マーケティング的に言えば、事業や製品の基本コンセプトを変えないこと。それが「つらぬく」の意味である。>


今月の課題図書なので、内容に対してコメントをすると、学生の感想文に影響を与えてしまう。今回のアップでは、別の話でお茶を濁すことにする。昨年11月、今治訪問の際に、池内社長を見ての感想である。本に書いていないことについてである.
 訪問当日は、中小企業セミナー講師としての打合せであった。わたしは司会役を頼まれていた。
 二時間の取材打ち合わせ後に、池内社長自らがわたしを松山市街の宿近くまで送ってくださった。実は、池内社長は「中島みゆき」の大ファンである。その日も、松山市で中島みゆきのコンサートがあって、そのついでにわたしを町まで送ってくださったのだと思う。著書にはすこしだけ触れてあったが、池内さんは団塊世代の最後で、ビートルズ世代である。おそらくは、松下電器時代の音響マニアは、ここから来ているのだろう。相当な音楽きちがいと見た。
 乗っていてすぐに気がついたのは、運転しているのがトヨタ自動車の初代プリウスだなということだった。車の発進と停まり方が独特なので、すぐにわかる。当然ことながら、話はプリウスになった。プリウスを発売した当時、わたし自身がトヨタ社内でプリウスを開発していたチーム(商品企画部)を知っていたからである。
 池内さんが何度も修理をして、いまでも実際に乗っている初代プリウス(10年くらいは乗っているのか?)には、よくありがちな初期故障があったらしく、その後も修理はまったくの無料なのだそうだ。その経過をくわしく話してもらった。差しさわりがあるので、ここには詳しく書けないが、対応が「さすがにトヨタ自動車!」と感じるところがあった。
 池内さんの話に戻る。わたしなどは、しゃべっていることと、実際の生活がかならずしも一致しているわけではない。かなりいい加減である。しかし、池内社長は、ビジネスと生活のしかたに一貫性がある。そんなふうに感じた。「風で織るタオル」(オーガニック・コットン)のように、いつまでも長く使える製品を、車の選択でも実行している。だから、グリーンで長く乗れる車を選んでいる。
 わたしなどは・・・いやいやそれは言うまい。別の選択肢もあるわけだから。