学生たちへの桜井さんのコメントのなかに、スウェーデンのカジュアル衣料品小売業「H&M」(ヘネス&モーリッツ)の日本出店に関するご意見がありました。わたしもある種の思いをもっていましたので、銀座出店に関する追加コメントを桜井さんに送りました。さらに、その感想へのコメントがありました。「往復書簡」をそのまま掲載します。二人の専門家は、意見が一致しています。H&Mは、ピンチですね。
桜井さん (2008年10月23日)
お返事ありがとうございます。
学生たちには、この文章をひとりひとりに返しておきます。著者からの返信は、うれしいことだと思います。学生の身分ではふつうは考えられないような光栄です。なお、この文章をHPに転載してよろしいでしょうか?
一点、桜井さんに同意することがありました。H&Mの件です。わたしは、一号店を銀座に出店した時点で、H&Mは日本では成功しないだろうなと断定しました。学生たちにも、そのように宣言しています。イケアやコストコの立地と比較してみろ!と。
地価の高い銀座(だから、価格を抑え目にできません!)に一号店では、話題づくりと人気盛り上げにはよろしいですが、それでは、セフォラとブーツ(銀座)の二の舞です。日本人の大衆を相手にする気がないのだな、そう読みました。
日本人を「欧米ブランドかぶれ」と馬鹿にしています。わが国の小売業(ユニクロ、しまむら、ファイブフォックス、ハニーズ、ポイント、ライトオンなど)も、ずいぶんと軽く見られたものだと。本来、欧州でのH&Mの展開は、ふつうの大衆を相手にしたビジネスのはずです。
欧州価格から2割から9割も高いような価格付けでは、マーケットの裾野が広がりません。せいぜい全国主要都市20~30店舗どまりの展開になりますね。日本の衣料品市場改革には、何の助けにもなりません。
小川
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小川孔輔先生
H&Mに十月初旬に行った時、平日にもかかわらず100人ほど並んでいました。でも8分しか待ちませんでし。回転が早いのです。なぜなら多くの人が何も買わないで出てくるからです。レジに並んでいる人も1品目しか持っていません。NYでの1号店オープン時とえらく違います。NYではH&Mから出てくる人は大きく膨らんだショッピングバッグを両手に下げて、にこにこしていました。
ホームページ掲載の件、OKです。
ごきげんよう
桜井多恵子 2008年10月24日