エクアドル、コロンビアおよび米国(ヒューストン)のJFMA視察旅行から先ほど帰国しました。実りの多い中南米視察ツアーでした。まずは、旅の途中からアルコール・ツアーで急がしくなり、ご報告できなかったコロンビア(花産業)の概況をメモにてお知らせします。
滞在二日間で、首都ボゴタ周辺の農場と花束加工センターを4箇所ほど視察しました。最初の日の夕方は、「コロンビア花き輸出協会」を訪問し、全体のレクチャーを受けました。そのときと農場での印象を、メモ書きにしておきます。
(0)結論
最終的には、おそらくは10年以内に、オランダとコロンビアの花産業の国際的な地位(重要度)は、かなりの程度接近してくることが予想されます。
日本は、そのなかで、消費地として(世界第ニ位)、ならびに、生産地(世界第二位)として、自国の産業の再編成を考えなければならないようです。
①輸入が増えることでの、調達・物流・取引ネットワークの再編成
②海外への花束加工依頼(コロンビアは可能性あり)
③国内生産コストの上昇
④育種と生産技術の見直し
(1)コロンビアの産業全般(コロンビア輸出協会のデータ)
・切花の輸出額が、1141百万ドル(約1200億円)で世界第二位
・70%が米国向け、ただし、その他(アジア、欧州)向けが
急速に増えている。米国の景気低迷で影響はあるが、全体に
産業としては勢いを感じる。
・たとえば、日本向けは、2007年で23百万ドル(25億円)
2006年は、17百万ドル(約18億円)で、対前年比20%で
伸びている。
スプレイカーネ21%、スタンダードカーネ32%、バラ44%
意外に日本へもバラの輸出比率が高い
(2)多様化が進む
・作物にしても、加工にしても、また、輸出先にしても、
急速に多様化が進んでいる。
・クロップは、カーネーション、バラ一辺倒から、
カスミソウ、リモニウム、スターチス、
サマーフラワー(ひまわりなど)に広がっている
・品目の多様化
これは、マイアミの花束加工業が、コロンビア国内に
シフトしてきていることと関係がある。
・販売先の多様化
米国一辺倒から、欧州やアジアに仕向け地が多様化しつつある
日本が将来的に大きな市場になると見込んでいる
(3)コロンビアの優位性
・コストの優位性
一人当たりGDPが年間4000ドル(約45万円)で、
最低賃金が月259ドル(約2万8千円)。ただし、
会社としての支払いは、月400ドル(約5万円)程度。
・農場の生産現場と加工場がセットになっている
温室と加工場の間で移動輸送コストがかからない
コスト比率は、栽培と加工でほぼ同額であった
(なぜなら、従業員数が、両者でほぼ同数だったから)
・ブーケの加工賃が安い
典型的な10本入りの花束の作業効率は、
一束につき30~60秒(加工場所と花束の仕様による)
準備作業、後処理、最終パック、出荷などの作業が
その倍は掛かる (5時間として試算)
この条件下で、ひとり一日あたりの処理本数は、
300~500束(あるいは2000~3000本)
平均400束(/人・日)だとすると、
労賃が一日20ドルで、一束あたりの加工賃は5セント
つまりは5円。同様に、栽培の直接人件費も一束5円
・米国向けのミックスブーケの値段
ウォルマート仕様で、$4.99と$9.99の二つのみ
10ドルの価格とすれば、生産加工賃料はわずか10セント
つまりは、1000円のブーケで、直接労賃は10円(1%!)
500円のブーケとしても、たぶんは2%以下!
・結論:コロンビアは、圧倒的なコスト優位をもっている
アフリカ諸国は、加工部門をもっていない
(例外は、ワールドフラワー@ケニア)
欧州の加工場で、ダブルの賃金コストを負担する
高い人件費、産地と加工地までの花の移動
コロンビア米国間の輸送費用:1KG当たりで一ドル
(4)課題は育種と研究開発
・大学や研究機関との基礎研究は弱い
・ただし、育種家、育種会社との提携がはじまっている
・生産技術での革新は、むしろ、コロンビア発のものもある
La Plazoleta農場のPerfectionプログラム
同じ品種でも、大輪のカーネなどを作る栽培技術の開発