帝国ホテル・小林社長インタビュー「良きホテル人の3条件:Hotel Review」

 日本ホテル協会が発行している「Hotel Review」という雑誌で巻頭対談を依頼された。一昨日(4月5日)、(ホテル業界の)「ブランド戦略をめぐって」というテーマで、帝国ホテルの小林哲也社長と対談をした。


対談の場所は、14Fの特別室。大正時代の内装デザインをそのままに復元した部屋である。亀甲模様の壁など、とても素敵だった。わたしなどがこのスイートルームに泊まることはまずないだろう。一泊いくらか気になったが、下世話な話なので、質問することはやめた。50万円くらいかな?
 今年、日本のホテル業界では「2007年問題」の年と呼ばれている。外資ホテル、しかもプレミアム級ホテルの東京進出があいつぐからである。すでに、05年マンダリン・オリエンタル東京(日本橋)、コンラッド東京(新橋)が開業しているが、07年中には、ザ・リッツ・カールトン東京(赤坂)、ザ・ペニンシュラ東京(有楽町)が開業することになっている。
 外資に対抗して、帝国ホテル(明治の開業から117年目)は今年から大規模改装工事に入る。小林社長の言う、「ハード、ソフト、人材」の3要素のうち、ハードの強化改善に入るわけである。毎年、「日経ビジネス」?が発表する読者が選ぶホテル・ランキングでは、帝国ホテルだけが外資ホテルにまじってベスト5に入っている。今後も健闘を祈りたい。

 余談をひとつ。三番目の人材について、ホテル業界に向いた人間の条件を小林社長に尋ねてみた。回答は以下の通りであった。良きホテル人の三条件と呼ぶことにしよう。

 1 基本的に人間が好きであること
    接客業であるから当然である。人が嫌いでは・・・
 2 勉強をいとわないこと  
    採用に当たっては、その時点の能力(頭が良いとか)よりは、
    その後の成長を見るので。ぴかぴかに磨ける素材が欲しい。
 3 人間として誠実であること
    性格について「めい・げん・そ」(明元素)を求めるとのこと。
    ホテルパーソンは、明るく、元気で、素直なことが大切。
 
 3条件は、わたしが学部ゼミ生を採用する時の基準と同じである。
 小川ゼミは「宗教的だ」(竹内先生!)とか「体育会基準」(某先生)とも言われている。が、わたしは、覇気のない人間、元気のない人間、理屈や文句ばかり言う人間(一見頭はよさそう)は信用しない。採用しないように、学生たちには頼んである。なぜなら、からだが動かない人間は、仲間ができないし、将来的に人間として伸びないからである。
 学者の業績を見てもそれがよくわかる。若いころ、学校秀才だったはずの研究者が、40歳をすぎてからぴたりと業績がとまってしまうケースがある。本人の努力や能力の限界もあるが、それ以上に大きな要因は、良き研究者仲間(ネットワーク)を得られないからである。原因は、彼・彼女の人柄にある。ホテルマンと同じ気質が、研究者の成功要因についてもいえるのである。つまるところは「人間力」である。ビジネスパーソンも成功与件は同じかも知れない。余談が長くなってしまった。