年間20回ほどマラソン大会に参加している(「20回ぐらい」と思っていた)。学部長就任後は少ない練習時間をカバーしようと、大会へのエントリー回数を増やしている。
昨年度(2002年4月~2003年3月)の記録をまとめて驚いた。10Kとハーフを中心に、なんと30回のマラソン大会を走っていたことがわかったからである。大会数もさることながら、「総走行距離」が600キロを超えていた。これには本当にびっくりだった。
同じ期間に練習で走った距離はわずか500キロであった。距離の半分以上を、大会参加で稼いでいることになる。もっと練習しないと反省しきりではある。ちなみに、昨年度エントリーした大会を距離別に列挙すると、10K(12回)、12~16K(2回)、20K~ハーフ(12回)、30K(1回)、フルマラソン(3回)。幸運にもすべて完走できている。
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マラソン大会は全国各地で開催される。北海道から沖縄まで開かれる公式マラソン大会は、ランナーズ発行の「全国マラソン大会ガイドブック(2003年版)」によると、約3、000くらいと言われている。その百分の一の大会に参加しているわけである。個人的には、日本海側が空白地帯である。山陰(鳥取、島根)と北陸(石川、福井、富山)、東北の日本海側(秋田、山形、青森)の大会には参加したことがない。沖縄と四国のフルマラソンも未踏の地である。
恒例となった北海道美瑛町「ヘルシーマラソン」(ハーフ)には、長男の由(ゆう)とふたりで参加している。昨年6月は、現役野球選手の息子(20歳)より早くゴールインできて、親父(50歳)としては鼻高々であった(親父1時間40分38秒、息子は約5分遅れ)。今年(6月8日)はリベンジをかけて、息子の由くんは秘密の特訓をしているらしい。敵はアルコールを飲む回数を減らしている。私は休肝日をもうけずに、自堕落な毎日を過ごしている。
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ところで、たとえ関東周辺で開かれるマラソン大会ではあっても、必ず温泉に入って帰ってくることにしている。この楽しみは、温泉好きにしかわからないだろう。
「甘楽桜マラソン」(ハーフ)のように、走り終わると目の前が「町営温泉」であることもめずらしくない。「湯河原オレンジマラソン」(10K)は、宿は指定されるが、無料で温泉に入ることができる。温泉街で開催されるマラソン大会では、無料入浴券が配られることが常識である。伊東温泉、網走ハーフなども入浴券付きだったような気がする。
マラソンの後で入浴して「おいしかった」温泉をいくつか紹介してみたい。
(1)「十勝岳、吹上温泉」(北海道美瑛町)
毎年初夏(マラソン)と厳冬期(スキー)に2回訪れる美瑛町には、白金温泉(目の前がスキー場)など泉質の良い温泉がたくさんある。吹上温泉は、美瑛町の中心部からは少し離れている。山越えをしないとたどり着けない「森の中の露天風呂」である。入浴料は無料、冬季は閉鎖される。もちろん混浴である。定宿にしているペンション”WE”(ウイ)の岩崎さんに「熊が出るよ」と脅かされて行ったが、入浴しているのは、妙齢の女性ばかりだった。
(2)「早乙女温泉」(栃木県喜連川町)
キリンビールの植物開発研究所のど真ん前にある。JRが開発した「温泉つき分譲戸建て別荘」がある場所、近在の喜連川温泉とも一線を画して独立している。「鹿沼さつきマラソン」(ハーフ)、「氏家卯の花マラソン」(10K)の帰りに入浴している。基本的には塩分を含んだ硫黄泉であるが、お湯の色が訪問するたびに変わるのがおもしろい。白濁していることもあるし、透明なこともある(このごろは透明なことが多い)。半露天風呂なので、縁台に腰掛けて森と原っぱの景色がお風呂から眺められる。新緑が濃くなるこれからの時期、雨の日の入浴が最適である。多少問題があるとすると、近所のおじさんおばさんが来て楽しんでいるカラオケがうるさいことかな?
(3)「嵯峨塩温泉」(山梨県塩山市)
ある偶然がきっかけで、しばしば訪問している。「一宮桃の里マラソン」(ハーフ)や「勝沼ぶどう郷トークマラソン」(20K)などの帰りに一風呂浴びに寄る。日川渓谷に沿って大菩薩峠のほうに上っていくと、谷間にひっそりと佇んでいる一件宿の温泉である。「信玄の隠し湯」というキャッチコピーが素敵である。その名に恥じることなく、年代物の調度品などが置いてあり、昔ながらの温泉の雰囲気を保っている。小さな檜のお風呂はバブルジェットバスである。洗い場に木の桶を配したり、上がり湯のたまりなどをさりげなくデザインしたりと、気配りがなされている。小さな露天風呂からは、眼下に日川渓谷が見下ろせる。
<予告:温泉談義2では「秘湯の3条件」について>