疑問? 老化は右と左のどちらから進行するのだろうか?

50歳を過ぎてから、一昔前ならばとても信じられないことが自分の身体に起こっている。若いと思っていたが、人間はエージング(加齢現象)から逃れることはできない。いつのまにか、身体の内側のいたる所で、徐々に機能低下が進行している。


自分の体を客観的に眺めてみると、どちらかといえば「右側」で老化が進んでいるような気がする。唯一の根拠は、聞き耳、効き目、利き足、利き腕が自分の場合、右側だということである。以下は、ごく思いつきの推論である。
 わたしは右利きである。効き目も右目である。走り幅跳びでは、たぶん右足で踏み切り板を蹴っているはずである。この半世紀の間、身体の右側を使いすぎてきたらしい。だから、右側から老化がはじまってもおかしくはない。この推論が正しいかどうかはわからないが、たしかに右側のほうが機能低下が顕著である。
 わたしは長距離走を趣味にしている。マラソンシーズン(10月~3月)に入ると、月間で120~130キロを走破する。若いときには、この程度の距離を走っても、翌日にはこの程度の疲労からはほとんど回復できた。しかし、いまは一日おきに走っている。そうしないと、筋肉の疲労が抜けないからである。
 ハーフマラソン以上の距離を走ったあとは、数日間は右膝に痛みとしこりが残るようになった。左側ではなく、右側のふくらはぎと太ももの筋肉に疲労が蓄積するのである。大枚をはたいてマッサージに通っても、浴槽の中で筋肉をゆるめてみても、なかなか緊張がほぐれないのである。おもしろいことに、左側の身体部位にははほとんど何の問題も起こっていない。
 同様に、長い時間(4~5時間以上)、本を読んだりPCで原稿を書くと、右目と右肘が重たくなる。左側には何の支障もない。機能不全も起こらない。もちろん、マラソンの前にはバンテリンを両膝に塗布したり、マラソンの後には、アイシング(湿布)をして、ほてった筋肉の熱を冷ますことをまめに実行している。
 もしかすると、姿勢に問題があるのかもしれない。人間の体は左右対称ではないらしい。整体治療では、左右のバランスが崩れて、ねじれてしまった身体の部位を補正するらしい。とはいえ、この治療法も何度が試みてみたが、さっぱり目に見えた効果はあげられていない。
 体の老化は、「効き側」からはじまるのだろうか? 自分の場合、右側の老化が進みがちだということは、理性を司っている左脳から老化がはじっているということなのだろうか? そうだとすると、研究者としては恐ろしいことである。それとは対照的に、芸術家ならば、右脳から老化が進むのだろうか? 文学部や芸術学部の先生たちは、若い頃から多用してきた左脳の機能低下がより早くはじまると回答するだろうか。