季節の挨拶、国際比較: 年始に互いの安否を確かめる日本人の習慣は特駿なのだろうか?

 クリスマスカードも含めて、海外から<季節のご挨拶>(Season’s Greetings>をいただくことが多くなった。「メリー・クリスマス」だったり、「ア・ハッピー・ニュー・イヤー」だったりである。


日本人はお正月の行事がある。一般的には、ちょうど区切りがよい元旦の1月1日以降に、お互いの安否を気遣いながら、知り合いに向けて年賀状を書き始めたのだろう。年始に自分の無事を知らせる目的で、また変わらない日常生活の証として年賀の挨拶がはじまったと思われる。遠くにいる親しい人たちの連絡手段として、<明けましておめでとうございます>があった。
 ところが、海外にいる日本人からは、このごろクリスマス前後の新年前(30~31日)に、年末・年始の挨拶状をいただくようになった。互いの安否と現況を知らせたり、安全を知ってもらうことが目的なのだが、国際的に見れば、その目的とメッセージを送るタイミングには、お国柄と地域性(宗教的な事情)が反映している。その習慣は普遍で、アジアでも同じ習慣が通用しているものとばかり思っていた。
 事実としては、欧米人は例外なく12月24日~26日の間に連絡を取り合う習慣がある。それは、時間の始まりと終わり(光と闇)に対する考え方と、宗教的な理由から来ている。イエスキリストが誕生した「クリスマス」という行事が、仲間内でのメッセージ交換に対する時間的なきっかけを与えていたはずである。ところが、実態を見てみると、宗教的な理由がコミュニケーションのタイミングを決めていると考えるのは、どこかまちがっているようである。
 年始に挨拶を交わすのは、どうやら日本人だけのようである。グローバルな視座から見れば、日本人の習慣は例外的である。いまやアジアの国でも、年末に挨拶を交わすという習慣がふつうである。すなわち、挨拶の時間的な規則は、欧米の基準に従っているのである。具体的に言えば、中国、インド、タイ、ベトナムから、在アジアの日本人を含めて、年末・年始にいただいた季節の挨拶「Season’s Greetings」は、例外なく12月24~30日の間にわたしの手元に届けられた。ただし、大いに笑ってしまったのは、そのほとんどのメディアが電子メール経由だったことである。何とはなしに「人間味がないな~」と思ってしまったのは、わたしだけだろうか?
 電子メディアでは、ぬくもりが伝わってこないのである。しかし、電子メールはもっとも面倒くさくなく通信媒体である。コストが安く「お手軽な通信手段」なのである。アジアからの”電子の便り”は、時期的にはクリスマス以降が多かった。この現象の背後にある理由を深く考えてみると、なかなかどうして興味が尽きない。日本とアジアの未来を考えさせられる練習問題なのである。(その謎解きはまた明日にする)