【訪問記録】多古町旬の味産直センター(@2025年2月1日)、現地視察メモ

 千葉県多古町にある「産直センター」を訪問した。案内役(コーディネーター)は、元ゼミ生でスーパー(ベルク、ヤオコー、ユニバース)と生協(コープデリ)の4社で青果部長を歴任した木村芳夫君。現地で対応してくれたのは、「多古町旬の味産直センター」(1987年設立、農事組合法人)の専務執行役員で、統括部長の井原聡氏。3月4日と5日に訪問する「ローソンファーム兵庫」の研修ための打ち合わせだった。

 
 <訪問目的>
 わたしは、淡路島の玉ねぎ栽培産地の現地案内(原田青果)と、ローソンファーム兵庫(原田脩平社長)での取り組みなど、今回の研修ツアーの講師として依頼されている。参加者は、3つの産直センター(多古町旬の味産直センター、船橋農産物供給センター、富里産直)の役員幹部職員 10
名ほど。
 わたしは、産直センターの成り立ちをよく知らない。そこで、今回のツアーを企画した木村君とコーディネーター(企画責任者)の井原さんに、事前視察で多古町の産直センターを訪問することをお願いした。
 一昨日(2月1日)は、お昼過ぎに多古町の産直センターに到着。交流センター(しんのみ空間)のレストランでランチをいただいてから、約1時間半(13時~14時半)をかけて、野菜の加工場(旬の味産直センター)を視察した。最後に、組合事務所で井原さんから、研修スケジュールや産直センターの課題などについて1時間ほどお話を伺うことになった。
 
 初めて知ったのだが、多古町のように「産直センター」を冠した組織(農事組合法人)は、1990年代の初期に、全国各地で生産者が組織した出荷団体である。当時、中小規模の農家は市場出荷が中心で、価格の変動(乱高下)に悩まされていた。そこで、消費者に直接青果物を届けるための出荷団体(加工)を組織することになった。
 わたしたちが多古町の加工センターを見学していた時間帯に、「埼玉産直センター」の職員数名が加工場を視察に訪れていた。首都圏の産直センターは、多古町の産直センターと同様、販売先として生活協同組合などとの連携で運営されていることがほとんどのようだった。
 いただいた資料「機関誌:しんのみ畑」(2017年冬号)は、「産直センター創立30周年号」で、そこには多古町の産直センターの歴史が詳しく書かれていた。それによると、多古町の産直センターは、セット野菜の販売と生協向け出荷で初期の事業が始まっていた。
 全国各地にある産直センターは、商流・物流など地域性があるようだった。例えば、井原さんの話では、首都圏と関西圏は同じ生協出荷と言っても、取引形態が首都圏とはかなり異なっているようだった。

 <視察記録>
 以下では、「多古町旬の味産直センター」(産直センターと略記)の成り立ちを簡単に整理しておく(小川の視察メモにしたがって)。
 
1 取扱高、出荷品目の特長
 現状では、約50品目の野菜を集出荷している。全体の取扱高は、約24.5億円(2024年)。取扱高は、コロナ禍で急増している。ただし、コロナ後はフラットになった。
 主品目は、ニンジンとサツマイモ。この2品目で7億円超を占める(ニンジン3億円、サツマイモ4.3億円)。2017年に増設した加工センターは、ほぼニンジンとサツマイモの袋詰めと箱詰め作業のために利用されていた。
 農家が持ち込んだ野菜(ニンジンとサツマイモ)をセンターで処理して、生協向け(各地の配送センター)に出荷している。ニンジンでは、収穫→ 洗浄→選別まで、サツマイモでは、収穫→貯蔵→選別→洗浄まで農家の役割である。加工センターは袋詰めと箱詰めの作業を受け持っている。
 出荷先は、約70%が生協向け。その他、首都圏のスーパー向けなどもある。セット野菜は、消費者に直送されている。特定の消費者団体向けの野菜ボックスなども請け負っている。
 
2 産直センターの組織・運営など
 7年前(2017年)に新設された加工センターでは、約40人のパート・派遣労働者が働いている。野菜の収穫がない9月と10月は、センターがほぼ休みになる。
 ニンジンは年2作なので、冷蔵倉庫で貯蔵しておく。サツマイモは、各農家で貯蔵している。年間を通して、ニンジンは300トン/月、サツマイモは200トン/月を処理している。
 その他の野菜(ミニトマト、キュウリなど)は、古い方の加工場で処理されていた(箱詰めや袋詰め)。多品種少量なので、ニンジンやサツマイモとは作業効率が違っている。
 増設された加工センターの隣りに、育苗ハウスが3棟あった。これは、高齢化で栽培する人がいなくなり、休耕田になりかけている田んぼ(産直センターの目の前に広がる広大な田んぼ)を稼働させるため、育苗から田植え、収穫までの作業を産直センターが代理で担うため。
 収穫した「多古米」(食味日本一になったことがある)を、乾燥・脱穀後に精米する施設(しゅんの米工房)もセンターとして保有している。悩ましいのだが、ここまでやらないと休耕田が増える一方である。

3 千葉アグリコルツーラ株式会社
 今回の視察研修は、3つの団体の共同ツアーになる。農事組合法人「多古町旬の味産直センター」、農事組合法人「船橋農産物供給センター」、農事組合法人「冨里産直」の3社の合同組織である。
 この3つの団体は、「千葉アグリコルツーラ株式会社」(2005年設立)を組織するメンバーである。共同で生産と販売に取り組んでいる。当初は、近隣の8社のメンバーでスタートしている。
 
4 その他   

 
  

 
 
  

コメント