2日前(1月24日)、3月末に発売が予定されている拙著『ローソン』の表紙装丁が出来上がってきた。今回も、アートディレクターの大内おさむさんに、本の装丁を依頼していた。予定では、2024年の年内提出のはずだったが、大内さんの身内にご不幸があり、完成が先延ばしになっていた。3週間ほどたってもラフ案が出てこない。PHP研究所で編集担当の三宅晃生さんからは、「先生、胃が痛くなってきました」とメールが来ていた。
大内さんの表紙ラフ案が、三宅さんから転送されてきたのが一昨日の朝だった。わたしの印象は、一瞬だが「あれ?」だった。想定していた表紙のイメージと、PCの画面で見る画像の印象がかなり違っていたからだった。
アートディレクターの大内さんには、これまで4度、表紙デザインの制作を依頼してきた。『しまむらとヤオコー』(小学館、2011年)、『CSは女子力で決まる!』(生産性出版)、『青いりんごの物語:ロック・フィールドのサラダ革命』(PHP研究所)、(ペンネーム、小石川一輔で)『わんすけ先生、消防団員になる』(小学館スクウェア)である。
これまでの4冊は、とても凝ったデザインだった。それ自体がアート作品と言ってよい出来栄えになっていた。ところが、5冊目の『ローソン』の表紙は、大内さんの作品としては、インパクト重視のデザインになっていた。想定とちがったので、何となく「梯子を外された感覚」だった。
初見の正直な感覚を言うと、「大内さんには、別のアイデアを追加でリスエストした方がいいのでは?」だった。わたし自身も、そんな反応は初めてのことだった。これまで出版した53冊の表紙については、一度たりとも装丁に注文を付けたことはなかった。
その違和感は自分だけのものなのかどうか? 想定される読者の反応を知る意味もあって、家族や親しい友人の数名に、大内さんの表紙ラフ案(画像)を送ってみた。彼ら/彼女らに、表紙のラフ案について正直な感想を聞くためだった。また、取材の際に親しくなったローソンの社員とオーナーさんにも、感想を尋ねてみた(まだ正式ではないので、ブログでは画像を紹介できないのが残念です)。
リサーチの結果は、おおむねポジティブだった。わたしと似たような初見の感想を持った友人も数名いたことは事実である。例えば、「先生っぽく、もっとアーティスティックな案とかにしてみては?」 一方で、友人たちの代表的な反応は、「(いい意味で)ローソンそのまんまですね」「インパクトがスゴイ」「店頭で目立ちます」などだった。とりわけ、ローソン関係者はとても喜んでくれていた。
例えば、宮崎元専務に表紙のデザインについて電話したところ、開口一番、「ローソンの関係者,社員やオーナーさんは喜びますね。ただし、本屋さんなど、外はどうかな?」だった。メインターゲットとなる読者は、ローソン関係者(+競合)である。
なので、ブルーローソンの目立つ装丁案は、このままでよろしいのだと判断したわけである。以下は、今回のことに対する、わたし自身の反省文(心の声)である。
この本は、ローソンの社員やオーナーさんのために書いたものです。ローソンの社員に配ります。オーナーさんには、「マチの本屋さんのコーナー」がある全国の店舗(3千店?)にも置いてもらいます。きっとローソンの店主さんは、1冊はご自分で買い求めるのではないでしょうか? 自分の会社の本で、仲間も6人も本の中に登場しています。
こんなフレーズを思い出しました。「おいしいものが売れるのではない、売れているのがおいしい料理だ」。サイゼリヤの創業者、正垣泰彦会長の書名です。名言ですね。
本の表紙も同じではないだろうか? もう少し凝って上質なデザインもあるとは思うが、一番手に取ってもらいたい人が喜んでくれる表紙が良い作品である。マーケティングの先生なのに、自分の好みから、もっと上質なデザインを求めようとするアプローチを反省しました。わん
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