人口減幅が全国最大は、生まれ故郷の秋田県。2050年に向けて対策はあるのだろうか?

 秋田県の地元紙『秋田魁新報』(電子版)に、人口減の記事が掲載されていた。最近よく見かける記事のひとつだ。人口減少幅が全国で一番大きいのは秋田県であることはよく知られている。25年後(2050年)に秋田県は人口が、現在の約半分になるらしい。しかし、それに続く「12月全市町村マイナス」(12月26日号)には、さすがにショックを受けた。県庁所在地の秋田市だけはプラスではないかと思っていたからだ。

 

 秋田県の人口はすでに100万人を切っていた。いまや、お米以外では、なまはげと秋田美人しか売るものがない県になってしまった。秋田美人では人身売買になる。それどころか、壇蜜のように、美しい魅力的な女性は都会にもっていかれてしまっている。

 

 『秋田魁新報』(電子版:12月26日7時2分配信)から、最初の数行を引用する。

 「12月秋田県人口、91万988人 前月比1408人減、全市町村マイナス」
 秋田県調査統計課は25日、12月1日現在の県人口を91万988人(男43万577人、女48万411人)と発表した。前月に比べて1408人(0・15%)減少した。11月の1カ月間で、出生者数から死亡者数を引いた自然動態はマイナス1356人(出生262人、死亡1618人)。県内への転入者数から県外への転出者数を引いた社会動態はマイナス52人(転入607人、転出659人)だった。

 

 東京都以外は、2050年までには、すべての府県で人口が減少する。報道によると、東北地方がもっとも減少幅が大きいことは、いまや小中学生でも知っている。全体として見ると、結婚したり子供を産む動機がほとんどないことが原因だろう。それでも、秋田県を見てみると、誘致企業以外に、これといった産業がないことが根本的な原因である。

 先月から今週にかけて、3つの雑誌(会報)に、「(秋田県)能代市に、来年1月、中国木材が新工場を建設する」という記事を書いている。背景にあるのは、山から杉材を切り出して効率よく加工出荷できる場所が、秋田県しか残されていないからだった。さすがに、秋田県の木材産業が復活すれば、新たに500人近い雇用が生み出される。

 もし秋田県の会社が国産材の製材工場を建設したなら、もっとダイナミックな展開ができていたかもしれない。高校の同級生で、平成の町村合併前に「二ツ井市長」(現能代市)だった丸岡くんは、地元の杉材で無印良品向けに学校机を製作・販売していた。同じく同級生の西方くんは、秋田の杉材で地元で住宅の設計をしていたことを覚えている。

 

 観光も同様である。今年の夏に、何十年ぶりかで男鹿半島の温泉に宿泊した。コロナ明けで、わたしのような県外客で、男鹿のホテルは賑わっていた。インバウンド客は見かけなかったが、若い観光客もちらほらいる。秋田県で独自の産業が振興できれば、雇用が生み出されて、若者も定着するはずである。

 たとえば、残念だったのは、今年の春に店舗を占めた「東雲羊羹」(能代市)の熊谷長栄堂。従業員が高齢化で働けなくなり、羊羹の充填用マシンが古くなって故障気味だったからだ。事業を継承して刷新するアイデアを、個人的に地元新聞(北羽新報)のコラムで提案したのだが、地元の能代市で手を挙げる若者がいなかった。

 かように、日本の地方都市では活力が失われている。円安で地方にとっては、ものすごいチャンス到来である。それなのに、人間の方が委縮していて、未来に希望が持てない状態である。中国木材の新工場など、新たな成功モデルが地方の活性化に貢献できるとよいが。

 人口減を打ち破ることができる、新たな動きに期待をつないでいる。わたしも何か貢献できる機会を密かに待っている。