東京ビッグサイトで3日間(11月15日~17日)に渡って開催された「フローラル・イノベーション2023」が無事に終了した。会場内のセミナーやJFMAブース内で企画したミニセミナーなどは予想以上に盛況だった。多くの花業界人が会場を訪問してくださった。
特に力を入れたのが、2日目の「花き物流2024年問題に向けて」という特別セミナーだった。サブタイトルに、共同配送、台車・パレット化、拠点物流センターの利用というキーワードをちりばめておいた。解決の糸口を、事前にリスト化しておいたつもりだった。
当日は、小川が司会進行役を務めてさせていただいた。パネラーとしては、実務に詳しい3人の専門家に登壇していただいた。樋口博紀さん(東日本板橋花き代表取締役社長)、井上博保さん(三和陸運代表取締役社長)、藤目健太さん(ジャパンフラワードリーム代表取締役COO)である。生産・物流・流通部門のキーマンたちには、花業界が置かれている物流の状況と、その課題にどのように取り組んでいるのかについて話していただいた。
ところで、ビッグサイトのセミナー数日前(10月9日)に、京都市内で藤目さんが主宰する「第5回グローワーズ経営者会議」が開催されていた。会場の京都生花まで出向いて、若手生産者たちの様子を覗いてみることにした。事前の情報収集のためだったのだが、前日に関西出張が入っていたのが幸運だった。
さて、フローラル・イノベーションの当日は、物流問題の本質がどこにあるのかを解説しながら、セミナーの司会を担当させていただいた。ここでは、セミナー会場で議論した内容を、簡単に報告してみたい。パネラーとして登壇していただいた3人の方の意見や取り組みなどについては、機会を改めて報告してみたいと思う。以下では、わたしが当日の導入部と最後にまとめて話した内容の要約になる。
花業界の物流問題の本質は、2024年の法改正とトラックドライバーの労働時間に対する規制だけが問題なのではない。「花が運べなくなること」以上に重要なのは、約35年前に作られたインフラと、業界で働く人たちの働き方が古くなっているからである。具体的には、
①1990年の大阪花博前後に、市場統合時に建てられた「卸市場の建物」が古くなっている。使い勝手が悪いインフラは、全面改装するか何らかの改修工事が必要である。
②市場統合と同時に「機械せりシステム」が導入された。当時はメインフレーム全盛の時代だった。情報システムのプラットフォームも入れ替えが必要である。
③時間は少し遡る1970年代から80年代にかけて、日本全国に高速道路網が整備された。物流インフラも傷んでいる。トラックの使い方も考えるべきタイミングである。
④最後に、物流の結節点で用いられている物流機器(台車、パレット、プラ箱)の導入が進んでいない。スムースなオペレーションで、働き方を効率よくできるはずである。
結論である。セミナーでは最後に、花業界として協力して問題に取り組んでいくべきことが合意されたように思う。結語は、2024年の物流問題を解決するために、「仲良く協力すること」である。