数日前(6月30日)に、「FloralDaily.com」の記事を引用して、欧州で植物市場が拡大していることを紹介した(https://kosuke-ogawa.com/?eid=6100)。コロナ後も、植物ブーム(鉢物、ミニ観葉)が去ったわけではない。植物(house plants)への関心は持続可能のようだった。
日本の生産者に、2か月位ほど前に(4月から5月にかけて)、雑誌と同様の傾向をヒアリングしてみていた。日本のホームセンター(大手29社)では、2019年比で植物(鉢物、花壇苗、観葉植物)の販売が、90~95%だったからである(「日本DIY・HC協会」の2023年5月調査から)。
生産者の見解はシビアだった。将来に対してやや悲観的だった。彼らからは、「外食や旅行で外出する機会が増えているので、家庭で植物を楽しむ時間が減少しているのではないか」という説明がなされていた。
そこで、専門家たちに、一週間前に意見を求めてみた。質問は、以下のような形で、メールを通じて行われた。サンプル数は、ごく数人である。3人の方から回答をいただいた。
「その理由(植物市場の停滞)は、①欧州と日本の植物に対する態度(植物の存在は、日本ではレジャーやホビーの代替品)のちがいなのか? ②欧州に遅れてコロナ明けした日本は、このあとヨーロッパのように、ふたたび植物への関心が回帰するのか? わたしは、後者に賭けたいと思う。しかし、花き業界の専門家たちは、どのように見ているのか?
これから、ブログ記事を、観葉植物を生業にしている業界人と、市場分析のプロフェッショナルたちに送って、「植物市場」の現状と未来を予想してみたいと思う。結論は、ふたたび本ブログで紹介してみたい」(ブログから引用)。
3人の専門家たち(実業家)の見解を紹介してみたい。
(1)大田花き花き研究所、内藤育子さん
花研周辺では、上記(先生のコラム内)①が2票、また第三の選択肢が1票ありました。
(2)花恋人、野田将克さん
鉢物、観葉植物についてなのですが、karendoではギフトに特化しているのですが、
●コロナ禍ではギフト需要が減少、自宅需要が増加
●コロナ前後ではギフト需要が増加、自宅需要が減少
のため、売上ベースでいくと単価がギフトのほうが高いため伸長しているという形です。
質問については②と思います。ギフト需要で非常に伸びているため、必要になってくる種類が異なるかとは思います。
(3)ヒトハナ、森田憲久さん
小川先生がかかれているとおり、Googleトレンドをみると2019年のように戻るわけではないようにおもいますが、昨年と比べると、1割ぐらいは検索数が減っています(https://gyazo.com/7d07a32ab13d0a1abe9e13d7011901d0)。
先生が提示した、①欧州と日本の植物に対する態度(植物の存在は、日本ではレジャーやホビーの代替品)のちがいなのか?
②欧州に遅れてコロナ明けした日本は、このあとヨーロッパのように、ふたたび植物への関心が回帰するのか? という軸で分析すれば、①を態度の方が新規で観葉植物を購入する量が減り(検索の1割が減少分)、②のように関心をもったひとが19年から増加し、検索数が維持されていると思います。
<小川の結論>
全体需要を見ると、大田花きの内藤さんのように、卸市場周辺ではやや悲観的な見方が大勢を占めているように感じる。その辺は、DIY・HC協会の速報値(5月)にも表れている。
ただし、野田さん(花恋人)が指摘するように、ギフト市場を見ると、植物をプレゼントに贈る習慣はコロナを境に定着していることはまちがいない。他方で、森田さん(ヒトハナ)の示している「グーグルトレンド」(日本)を見れば、欧州と同じで「1割程度の検索数の減少」である。
コロナ禍で新規のユーザが増えた分は、元に戻ることはない。わたしの周りの専門家(実務家)たちの観察でもある。「植物への愛」(牧野富太郎ブーム、『日経サイエンス』2023年7月号)がよく売れているところからも、そのことは確からしい。わたしの懸念は、払しょくされたようだ。
<追加>
午前中にここまで書いて家を出たが、仕事から戻ってから、バロック・ジャパンの大芦部長さんから回答が戻ってきていた。岩佐君経由の返事だった。
(4)バロック・ジャパン、大芦さん
①確かに日本では嗜好品に分類されるかも知れませんね。
特に塊根植物やアガベ等はニッチではあるものの、一部の層には根強い人気があり、引き続き高値で取引されています。
②植物においてもアパレル同様で大量生産、大量消費は時代に合わない現状があり、特に生産者さんの高齢化、後継者問題や、消費者の目が肥えている事もあり、実際に店頭でも「良い樹形」や「希少性のある品種」に人気が集中しています。
アフターコロナにおいてもライフシーンの中の「植欲」についてのマーケットニーズは拡大すると見ており、新築や転居と言ったシーンにおいてもインテリアには欠かせないコンテンツになっていると感じます。
ホームセンターには少し抵抗を感じる層に向けて、植物と鉢のコーディネートによるインテリア映えする提案にニーズがあるため、そこを心掛けていきたいです。
おかげさまで、今日現在2つの屋号で10店舗になりました。
*というわけで、バロック・ジャパンの観葉植物の店(シェルター・グリーン)は、5店舗から10店舗に増えていました。わたしの仮説はやはり当たっていそうです。