「サービス生産性協議会」(通称、SPRING)の幹事会が、帝国ホテル本館2F「蘭の間」で開かれた。わたしは、コロナ明けで2年ぶりの参加だった。決算・予算や2022年度の活動報告の合間に、JTBの北山栄二郎社長のミニ講演があった。今回から北山さんは協議会の幹事メンバーになられた。その挨拶を兼ねての講演だった。
15分間の講演テーマは、「ツーリズムの変化と今後の動向について」だった。お話を聞いて、最後の提案にわたしは激しく同意することになった。2018年ごろから、まったく同じ主張を考えていたが、協議会では発言する機会がなかったからだった。
2007年ごろから、日本を訪問する観光客を増やすため、とくに移動手段のサービス価格について、外国人をずいぶんと日本政府は優遇してきた。「当初はそれでもよかったかもしれない。でも、円安で日本のサービス価格が諸外国に比べて格安になっている。それでも、新幹線の割引(ジャパン・レールパス)やその他、優遇措置が継続している。その必要はないのではないか」(山北さんの講演から要約)。
このことは、コロナ前に京都の町(たとえば、嵐山のトロッコ列車の混雑)を見ていて、わたしも強くそれを感じていた。2018年時点ですでに、日本を来訪する外国人を金銭的に優遇する意味は経済的にはほとんどなかった。ブログにもそのように書いた。とりわけ、中国人の観光客のお行儀の悪さには、辟易していたからだった。
*最近になって、フランス(パリ)が、観光客を制限するようになった。総量規制である。京都はそれを狙っていいと思う。
そのころ(2016~2018年)、TDR(東京ディズニーリゾート)が価格の安さ(国際的に見たときの低価格)とサービスの低下に苦しんでいた。要するに、園内の混雑が激しすぎて、来援客の満足度が低下していたのである。その後に、USJが変動価格制を導入して、TDRもその数年後にそれに追随することになった。
結果はご覧の通りである。園内の混雑が緩和されて、入園料の値段は上昇したが、ゆっくりと楽しむことができるようになった。企業も顧客もどこにも敗者はいない。来場者は、ゆっくりアトラクションを楽しむことができるようになった。オリエンタルランドは、業績が向上して株価が上昇した。
同じことをわたしは、京都に導入すべきだと主張していた。10年前のことだった。「京都(寺社パーク!)に来場するのに、入場料を課すべき」という提案だった。いまは、それが現実のものとなりそうな気配である。しかし、日本人(政府)はそれを迅速に対応できないだろうな、とも思っている。
わたしの5年前の提案は、いつ実現できるやらである。それでも、山北社長の提案には激しく同意するわけではある。時代は変わったのかもしれない。