消防団に入団した最初の集会で、一枚の用紙が配られた。わたしたち第11分団は、石川分団長の下、団員が34名で構成されている。たとえば、火事が発生したときの消火活動の守備範囲は、葛飾区高砂1丁目から5丁目までである。配布されたのは、町内の地図のコピー。各エリア(高砂2丁目と3丁目)に設置されている消火栓の位置だった。
その地図には、各町内(2、3丁目)ごとに、消火栓には連番が振られていた。高砂2丁目は、#1~#30まで。高砂3丁目は、#1~#33まで。住宅地図からは、各町会にほぼ30個の消火栓が設置されていることがわかる。思っていた以上に、設置数が多いことにわたしは驚いた。
一方で、令和5年(元旦)で、高砂2丁目の世帯数は、1538世帯(2674人)。同じく、高砂3丁目では、2178世帯(3885人)である。高砂2丁目と3丁目を合わせると、消火栓は63個になる。合計の世帯数は、3716世帯(6559人)。世帯数との比率では、59世帯に1個の消火栓。人数割合だと、104人に一個の消火栓ということになる。
第11分団は、5つの町会(エリア)を守備範囲としている。正確な消火栓のデータはないが、約157個と推定できる。高砂1丁目から5丁目までの7459世帯に対して、157個の消火栓である。消火栓は、ほぼ60世帯に1個の勘定になる。
ところで、本田署管内(16分団からなる)の火災発生件数は、令和5年の約5か月間(6月7日現在)で38件。ほとんどはボヤだが、分団平均では、推定で年約5件となる。今年はこれまで、火災による死傷者は12人で、うち死者1人となっている。
データからわかることは、わたしたちが思っている以上に、火災の発生件数が多いことである。本田消防署管内で、年間約70件の火災が発生していると推察できる。消火栓(157個)とのバランスでは、火災に対してすべての消火栓が使用されるわけではないが、仮に火災発生で使用されるとしたら、平均で2年に一回の割合で、消火栓が開封されることがわかる。
直観的に消火栓の数が多いように見えるが、火災の発生件数とのバランスでは、東京消防庁が無駄に多くの消火栓を設置しているわけではない。また、消火栓間の距離を測ってみると、ほぼ100メートル間隔で消火栓を1個配置されていることがわかる。
最初の集会(新人歓迎会)に参加したとき、最初にやらなければと思ったことがあった。11月の入団からは、半年が経過している。まだ実行できていないのだが、消防団員として、できるだけ早めに町内の消火栓の位置を確かめることである。消火栓が約100メートル間隔で設置されていることは、消防操法の練習に参加して肌感覚で分かるようになった。
消防操法の演習では、放水のために、1本20メートルのホースを4本つなぐ。水源(マンホールや消火栓)からホースの先端までは、約80メートルである。町中に埋まっているマンホールや消火栓の間隔が、60メートルから100メートルというのは、結果的には理に適っていることがわかる。
実はもっとも不足しているのは、消火活動に当たる消防団員の数である。定員に対して、現状では7割くらいした充足していない。わたしたちの第11分団で言えば、消火栓157個に対して団員は34人。充足率は8割程度である。他の分団に比べると、団員は充足しているほうだが、100%ではない。
これこそが東京消防庁、いや日本全国の消防団員とって最大の問題である。消火栓は足りているのにである。