劇団四季ミュージカルの音楽会@東京建物ブリリアントホール(池袋)

 劇団四季からのご招待で、アンドリュー・ロイド=ウエーバーの音楽会に出かけた。場所は池袋。ミュージカルの舞台音楽を演奏して聴かせる特別演奏会である。四季のミュージカルは、多くがウエーバー作曲らしい。わたしは初めて知ったのだが、四季の会員さんならば、きっと当然の知識なのだろう。

 

 演奏されたのは、キャッツ、オペラ座の怪人、エビータ、ジーザスクライスト・スーパースターなど。舞台で聞く物語の中の音楽と、音楽だけの演奏はちょっと趣が異なる。物語の背景がよくわかっていないと、つまりは劇を見たことがない人には、感動は半減するのかもしれない。

 たしかに、わたしも、これまで見たことがないミュージカルの音楽はいまひとつだった気がする。ただし、歌い手とすると、音だけが勝負である。(たぶん歌唱力で選ばれた)10人の四季のスターたちが舞台に登場していたが、ふだんよりも力が入った歌唱になっていた。

 なんといっても、四季の役者さんたちはすばらしい。とりわけ女性陣は美しい。心を奪われるくらい、うっとりする。

 

 この形式の音楽会を企画した意図は、なんだったのだろう。もしかすると、四季の会員から、音楽だけを聞いてみたいというリクエストがあったのかもしれない。ミュージカルは、歌と踊り、演技で成り立っている。四季のキャストたちにすれば、それぞれが得意の分野があるにちがいない。

 劇団四季の吉田社長のインタビュー(拙著『CSは女子力で決まる!』生産性出版、2014年)で知ったのだが、役者さんにはそれぞれ得意な分野がある。劇団四季は、多国籍軍で編成されている。当時(2014年)は、四季のメンバーの20%が外国人だった。たとえば、国別に特異な分野をあげるとすると、「韓国人は歌唱力が、中国人はダンスが得意なのです」(吉田社長)。

 日本人は「演技」と言いたいところだが、どうなのだろうか。身体的に各国で優位性があるのだろう。たしかに、韓国人はダンスも歌もうまい気がする。中国人は、上海雑技団の伝統なのだろうか。踊りが得意のようだ。

  

 ところで、舞台から音楽だけを切り取ると、そこには別の世界が広がる可能性がある。今回の試みは、そのひとつのだと思った。じっくりと音楽(歌と演奏)だけを楽しむことができるからだ。その意図は、たしかに実現していたように思う。

 そういえば、昨日は池袋の初演の日だった。劇団四季の吉田社長が、ブリリアントホール2階で会員さんを出迎えていた。前回のライオンキング@有明のころより、吉田さんの顔色が心持ちよくなったように感じた。コロナで舞台を縮小せざるをえないようで、四季の経営は厳しい。内部留保を取り崩しているとも伺っている。

 約2年間に渡るコロナで、パフォーマンス芸術は厳しい時代を迎えている。このところは、パンデミックが終息しかけている。未来に対する希望が見えてきている。四季の舞台は復活するのだろう。昨日もほぼ満席だった。