モッコウバラを育てる

 うまく育てられなくて、苦手な植物がある。典型的なのが、鉢植えのバラである。岐阜セントラルローズの大西隆さんから、いつも豪華な鉢植えを送っていただくのだが、冬を越したためしがない。うどん粉病にやられて葉っぱが白くなったり、我流で剪定が下手なようで、きれいに花を咲かせることができない。

 

 庭職人としては「Dレベル」のわたしだが、練馬に住んでいる義理の姉から、3年前にモッコウバラの苗をいただいた。苗とはいっても、実際には姉の自宅にあるバラの先端をカットして、挿し木にしたものである。高砂に引っ越してからは、植木職人見習いの姉に、庭木の剪定を引き受けてもらっている。

 東南の角地には、それまでは何も植物が植わっていなかった。ちょっと寂しい一角でもあったので、そこにモッコウバラの苗を一本、地植えしてもらった。お隣との境界が、コンクリートのブロックになっている。モッコウバラは茎が長く伸びてくる性質をもっている。低いフェンスになっているので、モッコウバラがうまく育ったら、ブロック塀が隠れるように這わせることができると思った。

 姉の家では、大きく育って黄色の花が咲いている。かみさんに、その様子を画像で見せてもらっていた。ふつうのバラには棘(とげ)がある。枝や葉を剪定した後に処分するとき、棘が指に刺さって痛い思いをすることがある。バラが苦手な理由のひとつである。棘がないモッコウバラにはその心配がない。

 

 モッコウバラの蔓(ツル)は、10メートルを超えるくらいの長さに伸びると聞いていた。東南の角地とはいっても、隣家が迫っていて、日当たりはあまりよろしくない。「モッコウバラの育て方」という園芸の記事をみると、栽培の条件としては、水はけと風通しと日当たりが良いこととなっていた。

 わが家の南庭は、最初の2つの条件は適っているが、3番目の条件に難がある。少なくとも蔓が2階の高さまで伸びていけば、日当たりは確保できそうだった。案の定、日があまり当たらない状態の2年間は、まったく蕾をつけることがなかった。ただし、硬くて丈夫そうな蔓だけは、隣の家の物置の上を這って通路のところまで伸びていった。

 植えてから3年目の今年になって、期待していた通りに、モッコウバラの先端が2階の高さに届いた。隣の家の物置を超えて、長く伸びていった蔓を、わが家のフェンスの近くに戻してきた。長く伸びた茎の先端を、フェンスに這わせた。その作業の途中で、小さな蕾がたくさん付いていることを確認できた。

 

 栽培の手引きを見ると、モッコウバラの開花時期は、4月から5月にかけてとある。本日は、蕾を発見してから1週間目にあたる。昨日あたりからは、5メートルほどに伸びた蔓の先端で、黄色の蕾が開き始めている。写真にとって、インスタにあげておいた。

 たまたま、茨城の須貝花園さんから、薄紫色のマーガレットが届いていた。玄関ポーチの鉢に寄せ植えをしておいた。その写真と一緒に、開花し始めたばかりのモッコウバラの写真も何枚か撮っておいた。インスタには、そのほかに長野県の生産者さん(片桐農園)のアルストロメリアの花束もアップした。

 フラワー3点セットは、いずれも見事だった。その中でも、モッコウバラがナチュラルな雰囲気を醸し出していた。バラの栽培は下手なわたしだったが、モッコウバラの栽培では、なんとか及第点がとれたようだ。なにせ、とげが刺さる心配がないのいい。虫もほとんどつかないみたいだ。楚々としてきれいなうえに、モッコウバラは育てやすい植物のようだ。