定年後はじめての年賀状:人間関係のメンテナンス

 仕事関係の年賀状で、リストを更新した。これまでは会社に年賀状を送ってきたが、今回はそれが最後になる。長年お世話になった仕事関係の方たちである。発見して驚いたのは、会社の住所ではなく、すでにプライべート(個人宅)に移行していた方がほとんどだったことである。そうでない方たちについては、新年の挨拶がてら、退職と自宅の住所をお知らせした。この先は、会社に送ることはなくなるだろう。

 

 退職は、人間関係の継続について一つの区切りになると思った。経営大学院(イノベーション・マネジメント研究科)を創設してから20年弱の間に、たくさんの企業人にお世話になった。調査活動への協力、取材や事例作成など、業界の方たちには、教室で講義や講演もしていただいてきた。

 今回は、人間関係の区切りの意味もある。会社から年賀状を頂いてきた方たちには、最後のご挨拶のつもりである。会社関係でいただいてきた年賀で、返信が必要な枚数を数えてみた。なんと!10枚にも満たない。すでにプライベートに移行した多くの方たちとは、ご自宅の住所で年賀状を交換していたことがわかった。

 仕事から個人への整理のつもりで、メンテナンスするつもりだったが、実は必要はほとんどないことに気づいた。個人的には、そのことに満足を感じている。仕事で知り合った関係が、早期に個人的な人間関係に切り変わっていたのだった。

 

 定年後に新しいことに取り組んでいるが、昔からの仕事関係が消えたわけではない。大学院や学部ゼミ生とも、在職中と変わらず関係は続いている。このご時世にも関わらず、彼らとの飲み会や旅行も頻繁に開かれている。

 地方に散っている元学生とも、たとえば、広島や京都付近で会合を開いている。これから先は、わたしの個人旅行やマラソン大会への参加を機会に、再会することになるだろう。そのためにも、年賀状やLINEでの情報のやりとりは欠かせない。急に会おうとなっても、そう簡単に、それでは、、、とはならないものだ。普段からのメンテナンスが必要だと思っている。

 ゼミや授業で作られてきた人間関係は、日常的な教育活動の中で育まれてきたものだ。だから、わたしが生きている限りは、半ば永遠のものだろう。不透明なのは、仕事からはじまった企業人との人的関係である。これが、この先も継続していくものなのかどうか? その必要性があるのかどうかわからないが、これから先は、もしかするとわたしの人間関係のメンテナンス力が問われるのだと思う。

 

 以上、最後のご挨拶のつもりで、年賀状のメンテナンスをしていて感じたことである。

 いま手元にある、送付先ファイルと年賀状の束(最終ロット)には、つぎの方たちの名前が載っている。これから、郵便局のポストに投函する宛先である。

 

 ・大山健太郎さん(アイリスオーヤマ株式会社・会長)

 ・天沼聡さん(株式会社エアークローゼット・社長)

 ・中畑孝雄さん(株式会社日経イベント・プロ・専務)

 ・森田洋二さん(有限会社ボナフィオリア・社長)

 

 など、以下は省略。意外にも、メンテナンスの枚数は少ないものだ。