【出版予告】林麻矢さんと3冊目の翻訳書、ビル・ジョージ他『True North:リーダーたちの羅針盤、実践ガイド・ブック、 本物のリーダーになるためのパーソナル・ガイド』

 ビル・ジョージ著(2017)『True North:リーダーたちの羅針盤』(生産性出版)は、おかげさまで順調に版を重ねています。2022年現在4刷りです。わたしたちが直接関与していない外部セミナーで、リーダーシップ論のテキストとして活用されているようです。同書には、実はクラス討議や実践的なセミナー用に「ガイドブック」(2015年刊行)が用意されています。

 

 そこで今般、同書の『実践ガイドブック』を翻訳することにしました。目的は、外部セミナーで頻繁に用いられているようなので、わたしたちで独自に「リーダーたちの羅針盤セミナー」を開催しようと思ったからです。そのための基本テキストが準備するために、ガイドブックが役に立つと思ったからdせいた。

 すでに原書の翻訳を生産性出版にお願いしてあります。本書の翻訳を説得するために、林麻矢さんが「序文」を試訳してくれています。本年2月のことでした。おかげさまで、翻訳出版は決まりました。ただし、ダイヤモンド社から「ホームデポ」の新刊を翻訳途中でいたので、『実践ガイドブック』を手掛けるのに時間がかかってしまいました。

 今月、リスタートして、来年春には出版ができることになりました。同時に、オリジナルとガイドブックをセットにして、地dぅ時にセミナーを開催していきたいと思っています。テキスト出版予定の連休明けから募集を開始したいと思います。

 

 以下では、本書の翻訳刊行意図を示すために、麻矢さんが訳出した「はじめに」と「目次」を紹介します。

 

 

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『True North:リーダーたちの羅針盤、実践ガイド・ブック』

(本物のリーダーになるためのパーソナル・ガイド)

 

改訂版(原題) 

’Discovering Your True North:Field Book’

by Nick Craig, Bill George, Scott Snook

(2015) WILEY

 

目次

 

はじめに 『実践ガイド・ブック』を改訂した理由

序章 真のリーダーシップ育成が必要な理由

 

パート1:リーダーシップへの旅

1. 人生経験

2. 道を見失う

3. 試練

 

パート2:本物のリーダーになる

4. 自己認識力を養う

5. 自分の価値を実践で活かす

6. 自分のスイート・スポットを見つける

7. 自分のサポート・チームを作る

8. 公私を統合する

 

パート3:本物のリーダーシップを実践する

9. 「私」から「私たち」への移行

10.目標をたててリードする

11. 仲間たちをエンパワーする

12. グローバルな本物のリーダーになる

13.自分自身のリーダーシップ育成プランを立てる

 

あとがき

付録A このガイドの使い方

付録B リーダーシップ・ディスカッション・グループの作り方

付録C 真のリーダーシップ育成のためのシラバス

 

著者について

 

 

 はじめに

 『実践ガイド・ブック』を改定した理由を説明します

 

 『実践ガイド・ブック』の初版を送り出して以来これまでに、私たちは10,000人を超える人たちの協力を得て、その人達が一段と本物のリーダーになる旅を詳しく研究させていただきました。私たちは、ハーバード・ビジネス・スクールで「Authentic Leadership Development」の科目を教え、また、グローバル規模の責任を負う上級管理職者たちに彼らの状況に合わせた「True North研修プログラム」を実施するといった経験を積んできました。

 その過程で、私たちが大いに学んだことは、彼らがそれぞれのTrue Northをどのように発見し、実践に移していったかについてでした。多くの人と長期間にわたって研究をしたおかげで、彼らの長期的な旅とその進路を維持していくために何が必要なのかを理解できるようになりました。

 

 ビル・ジョージは初版の「はじめに」で述べています。

 

 「リーダーシップは大切です。今日の企業や研究機関、そこで働く人たち、そして、それらの組織やそこで働く人たちの世話になる人たちにとっても、リーダーシップはとても大切です。現代社会が効果的に機能するには、本物のリーダーが必要なのです。リーダーの役割は、人々を元気づけて、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるように、そして、自律して自身のステップ・アップができるようにすることです」

 

 「True Northを著したのは、あらゆる分野の人々が真のリーダーシップを発揮している姿をもっと見たいという強い気持ちと、そして、この本を手にとってくれている人々が真のリーダーシップを発見する一助となればという思いがあったからです」

 

 『True North リーダーたちの羅針盤』の出版に併せて、私たち自身の洞察力を磨き、学びを蓄積してきました。それをふまえて、『実践ガイド・ブック』も大幅に改定しています。真のリーダーシップを目指すあなたに役立つと幸いです。これから先、あなたが21世紀の航路なき海域を操舵していく際に、私たちの願いは、この改訂版『実践ガイド・ブック』が手助けして、あなたが大いに役立つ、そして本物の、リーダーになることです。自分自自身の羅針盤に従ってその軌道を歩み続けるリーダーでいて欲しいのです。

 

 

 この本はあなたに役立ちます

 

 初版を書いて大いに学びました。その一つが、「誰もがリーダーになれる」ということです。例えば、ヘルプ・デスクに電話をした時に、あなたが抱えている問題が電話の相手のドロップダウン・メニュー(複数の選択肢から1つの答えを選ぶ)になかったとします。そうすると、その瞬間に、ヘルプ・デスクのスタッフはあなたの相談にのるか否かを決めなければなりません。スタッフがどちらの選択をしたとしても、彼らがどのように感じるのか想像できますよね。

 私たちの見解では、あなたが他の人に影響を与える意思決定に直面するときはいつでも、あなたがその場をリードしているのです。ですから、あなたが学生、父母、バスの運転手、陸軍将校、CEO、祖父母、はたまた、世界中のどこの市民であろうが、私たち全員にステップ・アップしてリードする機会があるのです。

 私たちはこの『実践ガイド・ブック』を書くに当り、私たち全員が、一段と高い本物のリーダーになるための旅路の途中にあることを前提としました。ですから、この『実践ガイド・ブック』の想定読者は、自分自身を深く掘り下げ、人々をリードする機会を得る、自身をステップアップし、有意義な人生を送りたいと望んでいる人たちなのです。

 

 

 あなたの真のリーダーシップを発見する

 

 本物のリーダーになるというのは大変な努力が必要です。そのプロセスは、世界的に活躍するミュージシャンやアスリートになることと大差ありません。どの分野においても成功を収めるためには、持って生まれた、あなたならではの強みを活かし、同時に欠点を認識し、そこから学んでいかねばなりません。

 ビル・ジョージの場合、彼はリーダーになるために大変な苦労を重ねました。高校と大学の初期の頃の敗北と拒絶からくる失望に耐えなければなりませんでした。ゼネラル・エレクトリック社CEOのジェフ・イメルトがこう述べています。「ビルは先ず、自分自身の心の中でリーダーシップへの旅を始めなければならなかった」。それは、自分が誰であるか、自分の本当の情熱がどこにあるのか、そしてどうすればリーダーとしてより影響力を持てるようになるのか、を見つけるためでした。当時は、この『実践ガイド・ブック』のように手助けとなる本もないので、彼自身が旅路を歩み進みながら、プランを立てなければなりませんでした。旅路の途中で、妻であるペニーや親友たち、そして大切なメンターたちの助けもあって、ビルは成長し成功を収めるようになりました。それだけでなく、その途上の苦労を通して多くのレッスンを学びました。そのレッスンをここで、あなたとシェアしたいのです。

 

 多くの本で、リーダーになるための速攻法とか7つの易しいステップなどが紹介されています。残念ながら、そのようにはことは運びません。あなたのリーダーとしての能力を検証するには、系統立てたプランを持って自身の成長を助ける必要があります。それが、この『実践ガイド・ブック』の最終ゴールです。つまり、明確で詳細な道筋を提供してあなた自身の成長をガイドするためです。

 私たちは、あなたが人生の早い時期に、できるだけ多くのリーダーシップを発揮する経験を積んで欲しいと思っています。ただ座って待っていても何も起こりません。探してでも経験してください。一つ一つの経験から学んでください。自分自身の成長プランに照らし合わせた意味づけをするとか、必要に応じてプランを変更するとか、あるいは、プランそのものを組み替えて自身の「True North」を一段と明確にすることです。これは一生つづくプロセスです。さあ、今がそのスタートです。

 

 旅路につく前に、以下の基本となる真実をしっかりと心に刻んでおいてください。

* 今すぐでも、あなた自身の真のリーダーシップを発見できます。

* 持って生まれたリーダーとしての特性は必要ありません。

* 肩をたたかれて促されるまで待つ必要はありません。

* 組織のトップである必要はありません。

* 人生のどの時点においても、リーダーになるステップ・アップは可能です。決して、若すぎるとか、年を取り過ぎているということはありません。

* リーダーとはあなた自身が決める選択であって、肩書きではありません。

 

 

 『実践ガイド・ブック』の使い方

 

 『実践ガイド・ブック』では、あなたに一連の演習をしてもらいます。あなたを鼓舞して、ライフ・ストーリーを深く掘り下げ、情熱の泉を発見し、本物のリーダーに成長するように手助けします。そしてどこに落とし込むのか、が分かるようになります。先ず、あなた自身のライフ・ストーリーとリーダーシップとの関連を考察します。それから、あなたがこれまでの人生の中で積み重ねてきたリーダーとしての経験を検証します。挑戦したことと失望したことの両方をカバーしてください。さらに、いくつかの共通パターンを重点的に取りあげて、道筋を見失わないように、True Northを発見する軌道から外れていかないように配慮しています。

 

 幅広く、あなた自身のライフ・ストーリーをレビューしたあと、あなたが経験した大きな試練を紐解いてください。それは重要な意味を持つ「身を焦がす瞬間」です。自身のライフ・ストーリーを掘り起こし、試練を探索すると、あなた独自のパターンが見えてきます。それはあなたが何者なのか、つまり真のあなた自身を発見する手助けになるでしょう。

 次に鍵となる5つの発展項目に取り組みます。自己認識、価値観と原則、動機とスイート・スポット、サポート・チーム、そして公私を統合する、の5項目です。

 最後のセクションでは、「私」から「私たち」への根本的な移行について、あなたがどのように感じるのかを体験してもらい、リーダーシップの目標表明文を作成し、グローバルなシーンで人々をエンパワーする重要さを理解してもらいます。この一連の演習が終われば、あなた自身のパーソナル・リーダーシップ・デベロップメント・プラン(PLDP)を創りあげる準備が完了します。このプランは創ればそれで終わりでななく、今後いつでも立ち戻って、自身の成長具合を確認し、必要なアップデートを行い、さらに、生涯を通して、True Northに向かう道を見失わないようにガイドします。

 

 

 この『実践ガイド・ブック』に沿って仕事をすすめる

 

 

 この『実践ガイド・ブック』の活用方法をいくつか紹介します。

 

1. 個人で、これらの演習を完了して、PLDPを作成できます。

 

2. 『実践ガイド・ブック』を友人や新しい知人とグループで活用できます。参加する全員が一人一人演習を完了したのち、メンバーたちとオープンにそれぞれのインサイトについて話しあいます。さらに、再度演習に戻って、他のメンバーから得たフィードバックを踏まえて、自分の回答をアップデートするのも大変有益です。

 グループで行う際に、プロのファシリテーターにリードしてもらうのもよいでしょう。グループ内の議論の方向付けをするとか、テーマから外れないようにするなどの調整をしてくれます。あるいは、グループ内で交互にファシリテーションするやり方もあります。グループのリーダーシップをセッションごとに、メンバーが持ち回りで交代するものです。これはビル・ジョージが開発したアプローチ(6人のグループ・メンバー)で、ハーバード・ビジネス・スクールの「オーセンティック・リーダーシップ・デベロップメント」のクラスでスタートしました。

 

3. さらに学習を深めるために、パーソナル・コーチやメンターと一緒にこの『実践ガイド・ブック』を使うこともできます。経験豊かなパートナーが協力してくれたら、学習を深めたり、フィードバックをもらったり、そして、学習プロセスに洞察やメリハリを追加してくれるでしょう。

 

4. この『実践ガイド・ブック』は、職場のチームでも使用できます。チームリーダーとして、あなた自身がそれぞれの演習プロセスをガイドできます。あるいは、さらにプロセスを深めるために、プロのチーム・ビルディング・コンサルタントやファシリテーターを採用してもよいでしょう。

 

5. 『実践ガイド・ブック』と本編である『True North リーダーたちの羅針盤』を併せて、リーダー育成の基礎教材として使用できます。アカデミックな環境(大学など)や会社などの組織のどちらでもOKです。この教材は柔軟に利用でき、キャリア開発の全てのステージでのリーダーを支援するのに役立ちます。たとえば、学部生や院生といった若いリーダーたち、また、基本的なリーダーシップの役割を完了して第三段階の成長途上にいる中堅リーダーたちに役立つでしょう。

 

 大規模なグループの場合には、教授、教師、あるいはリーダー育成のプロといった人たちに依頼して、教材を準備しグループの指導をしてもらうのが良いでしょう。ニック・クレイグは、これまで多くの時間をかけて、会社などの組織のために教材作成とグループの指導をして、大きな成功を収めてきました。他にも多くのプロたちが、この『実践ガイド・ブック』をメインの教材にして、学部、MBA、エグゼクティブ・コースでリーダーシップを教えています。

 

 

 最後に、『実践ガイド・ブック』の読者の皆さんに向けて

 

 自分探しへの旅路につくあなたを、私たちは大いに歓迎します。できる限り自身にオープンかつ素直に演習をし終えるようにしてください。あなたが、真摯で感受性が豊かであるほど、それだけこの演習はあなたに大きなインパクトを与えるでしょう。勇気をふるって自分のライフ・ストーリーを深く探索してください。そうすれば、崇高な一人の人間である自分自身の本質は何かを理解する、この世界で自分にとって本当にふさわしい居場所を発見する、自分のリーダーシップで人々を前向きにさせるにはどうすれば良いのかを知る、そして、誇りにできるレガシーを残す、などが可能になるでしょう。

 私たちは、深くて永続する自己変革をしてきた多くのリーダーを目撃してきました。そのリーダーたちは、リーダーシップの旅路をたどって、この21世紀にふさわしい組織や機関を作りあげました。ビジネス、政府、教育、宗教など、分野を問わず、彼らにとって自分探し旅路は、自分自身が本物になるためだけでなく、周囲にいる全ての人たちを向上させる、本物のリーダーになるためでした。

 あなたが自分のTrue Northを発見するための惜しまぬ努力が、やがてはこの世界を全ての人たちにとっての、よりよい豊かな場所にしてくれるはずです。

 

2015年4月

 

ビル・ジョージ

ニック・クレイグ

スコット・スヌーク