【柴又日誌】#80:「今年は桃の当たり年?」へのふたりからの回答

 「なぜか、今年は桃の当たり年?」(柴又日誌:#79)というブログを、昨日(7月31日)書いた。夏のこの時期あたりから、自宅にたくさんのフルーツが届く。今年の夏に関していえばは、糖度が増した甘い桃が4箱すでに届いている。おもしろいことに、年によって届くフルーツが異なっていることに、いつのころからか気づくようになった。

 

 送り主によって産地は異なるが、年によって同じようなフルーツが届くのだ。それが、りんごだったり、桃だったり、ぶどうだったり、マンゴーだったりする。その理由を、2人の元ゼミ生に尋ねてみた。青果流通のプロ中のプロである。結論を言えば、わが仮説が、部分的に当たっているらしいことが分かった。

 

 わたしの仮説は、

 <仮説1>:りんごが豊作だったので、当然のことながら価格は手ごろで収穫量もたくさんあった。

 <仮説2>:その年に、りんごの農協がプロモーションに力を入れた結果ではないのか。

 

 りんごのなぜ?については謎のままだった。そこで、専門家に聞いてみることにした。①元ヤオコーとコープデリで農産部長だった木村芳夫君と、②全農で社外取締役をやっている塩原淳男君である。ちなみに、塩原君も元ヤオコーで青果のチームバイヤーを担当していた。

 わたしからのふたりへの質問は、「その年によって、お中元や暑中見舞いに利用される果物には、なにか一般的な法則や傾向があるものなのか?」である。

 

 昨夜、先に返信が来たのは、塩原君だった。しかし、わたしとのLINEでのやり取りがかなり長くなったので、塩原君のコメントは後回しにする。その後で、木村君から返信があったので、そちらを先に紹介する。

 

 <木村からの返答>

 2019年は猛暑で水不足の影響もあり、りんごは小玉傾向でした。値段も高値の為、相対的に値ごろ感があったのと、旱魃の為に味も良かったのだと思います。
 今年の桃については、割と空梅雨傾向もあり、早めに梅雨明けして味は良いのと、昨年が遅霜により夏の果物全般に良くなく、ギフトを早期に受注ストップしたりしてましたので、その関係も有るかもしれません。

 

 要するに、2019年のりんごについては、豊作だったわけではないが、味と値段が決め手だったという解釈である。数量ではなく、旱魃によって味が良かった。値ごろ感は、逆にギフトには値段が高い方がよろしい?ということだろうか。

 今年の桃については、空梅雨の影響で甘くできた(たしかに味はそうだと思う)。

 <塩原君とのやり取り>

・塩原

 ところで、先生のお悩み(たくさん来て食べきれない!)と販売動向は一致しています。

 果樹系は、その年により美味しさが変わってしまいます。安定しているのが、メロンや、マンゴー。
 ハウスで栽培しているので品質のコントロールしやすいです。

 なので、日常店頭で販売している美味しさがギフト販売に大きく影響します。

・小川

 やはり果実栽培の出来不出来に根拠があったか。

 値段ではないのですね。いや、出来が良い年は、高値がつくのですかね。
 贈答用にはやはりある程度の値段がついてないと、格好が良くないからね。

・塩原

 送る人は、大切な人に感謝を込めて送る訳ですから信用できる店を選ぶし、

 自分で食べて、納得した物を送りますよね。

・小川

 確かにそうですね。

 

 <小括>

 ここまででわかったことは、ギフト用は値段もさることながら、味が勝負だということ。

 したがって、木村君が指摘していたように、どの果物が選ばれるかはその年の出来=美味しさによる。

 さらに言えば、自分で味を確かめたうえで(お店や農園の推奨もあり)、贈る果物の種類を決めること。 

 

・塩原

 ギフトは、収穫する何ヶ月も前に設計するので、その年の良し悪しは、価格に反映されていません。

・小川

 わたしも、毎年、友人や親戚に白井の梨を贈ってます。

 やはり、信頼できる農園の最高の時期を選んで、最高の品質を指定します。

 もちろん自分でも食べてます。確かに、その時点では考えてないですね。価格は、

 果物の到着が、お中元から少しずれるのは、先に食べてから美味しさをチェックしてから送るからですかね。

・塩原

 ですよね!白井の梨は、関東では一番かな。千葉ではなく、白井指定ですね。
 価格は、ギフトですから農家からしたらギフトで売れるのがベスト!

 ギフトシーズンに合う果物は、少ないです。梨は、完全にはずれますね

 

 <結論>

 考えてみると当たり前だが、果実の出来不出来は天候次第である。

 となると、前もって種類を決めてしまうのはリスクが大きい。

 塩原君が言っているように、自分で食べてから種類や産地(生産者)を選ぶことになる。

 当然のことながら、価格は事前には決められない。

 

 例外はあって、わたしのように毎年、白井特産の梨を贈っている場合だ。

 その場合は、梨園さん(わたしの場合は、白井市の小田川梨園さん)に、

 サイズや品種を完全にお任せしてしまう。もっとも美味しくなるタイミングで、

 出荷日は固定しない。いつでも美味しいときに発送してくださいね!となる。

 

 ちなみに、マンゴーやチェリーが安定的に届くのは、温室で育てられているからだった。

 たしかに、山形から届くのは形も味も安定している。沖縄や宮崎のマンゴーもそうだ。

 偏りが少ない。もっとも、味がどうなるかわからないところも、楽しみではあるが、

 それは、わたしが自家用に購入しているからだろう。ギフトとなるとそうもいかない。