【柴又日誌】#68:本日は晴天なり、神田小川町のオフィスわんへ引っ越し

 来週3月17日に、大学院(新一口坂校舎)の研究室を引き払う。隣室の山崎教授の計らいで、四川大学・日本語学科に研究室の書籍の7割がたを寄贈した。残りの2割(マーケティング関連)を本日、神田小川町のオフィスわんへ引っ越しさせた。1割は、他分野の書籍である。これは自宅に持ち帰ることにした。

 

 本日の引っ越しには、次男の真継君からアシストの申し出があった。はじめから、彼の運転の手助けを当てにしていたから、「あー助かった」と思っていた。

 そのところへ、驚いたことに昨日になって、孫の穂高からお手伝いの申し出があった。幼稚園が休園になっているから、会社で休みをとった父親と一緒に外出できるのがうれしいらしい。

 わたしは、夕方になってから駅前のダイソーに行って、「こども軍手」なるものを穂高のために購入してきた。SMLの三種類あったが、真ん中のMサイズを購入してあげた。4月から小学校だから、小さなSサイズではないだろう。Lサイズとなると小学校高学年用になりそうだった。

 

 引っ越しには絶好の天気だ。すこし寒いが快晴で、仕事の邪魔になる風もほとんど吹いていない。

 高砂の自宅を9時に出発して、大学には10時10分に着いた。道路が混んでいて、予定より10分遅れた。研究室では、秘書の内藤光香が文具や資料などを整理して待ってくれていた。到着早々に事務室から台車を借りて、研究室に残っていた書籍を積んで駐車場まで運んだ。

 自宅用とオフィスわん用を合わせて、10箱くらいになった。まずは神田小川町に7箱ほどを運んだ。文房具やプリンター、真新しいPCもあるので、ホンダのSUVがパンパンになった。懸念していたホワイトボードも、後ろの荷台に楽々に積み込むことができた。

 穂高の役割は、自動車が停めてある駐車場まで、小型エレベーターを操作して台車を移動させることだった。警備員さんに教わって、自分で運搬用のエレベーターを手動で操作していた。器用な子だ。まるで電車を運転するように動かそうとしている。警備員さんのほうが、それを見て緊張している。穂高は、すこしこわばった顔でリモコンを操作していた。

 

 準備が整ったので、神田小川町に向かって発車オーライ。靖国通りを10分ほどで、オフィスわんに到着した。玄関口では、店長の木村さんが待ってくれていた。引っ越しを手伝ってくれることになっていた。岩崎社長が「アトリエ」と呼ぶギャラリーは、BARブリッツの隣の空間だ。6坪ほどの縦長のスペースで、片側が両開きの棚になっている。

 当面の措置で、そのスペースの二か所に、わたしの蔵書を置いてくれる約束になっていた。車に積み込んできた段ボールを開けて、棚棚に書籍を収納していった。ただし、奥行きがない棚なので、厚みのあるファイルの資料が入らなかった。段ボール2箱分が宙に浮いてしまっている。

 持参したプリンターとPCの置き場所もない。とりあえず、会議用の長机の上に置いたまま、木村さんに片づけてもらうことにした。オフィスわんを到着してから、この間ほぼ30分。真継が近くのコインパーキングに泊めていた車を出してきて、ふたたび大学に向かった。この荷下ろし作業に穂高は参加せず。スマホのゲームをしながら、駐車場に停めてある車の中で静かに待っていた。

 

 大学へ戻ると、6階のごみ箱の前に、研究で使った資料が山積みになっていた。最後の断捨離だ。内藤曰く、「一日に出せるごみの量がきまっているのです。いっぺんにたくさん廃棄を出しすぎると、担当の方にお叱りをうける」とのこと。

 今回も、廃棄する資料は2回に分けて、ごみとして出す予定でいるのだそうだ。個人情報が入った契約関係の書類や紙類、個人名が入った成績表などは、いちいちのシュレッダーは面倒である。この頃は、シュレッダーにかけるのではなく、薬品で溶かしてしまうらしい。わたしたちのような研究者でも、個人情報の扱いは面倒になってきている。

 自宅用の書籍は3箱だけだから、すぐに積み込み作業はおわった。そうそう、急にわたしは気分が悪くなった。日曜日の東京マラソンの疲れなのか、吐き気がして6階のブースで横になっていた。その間、真継と穂高は近くの小諸そばで、「引っ越しそば」を食べに行っていた。

 ランチからふたりが帰ってきたのを見計らって、高砂に向かって真継が車を走らせた。

 

 実は、穂高のお手伝いには、ご褒美が用意してある。自宅に戻ってからも、玄関から2階まで上げた段ボール開けて、穂高が本棚に本を並べてくれた。上の方の棚はまだ手が届かない。英文の重たい本を、一番下と2番目の棚に収めてくれた。英語の本や分厚い調査関係の本に興味を示していた。自分が収納を担当した英語のテキストや調査関係の本が、異常に厚い理由を考えていたのかもしれない。

 これから夕飯がはじまる。そのとき、穂高にはご褒美を渡そうと思っている。東京マラソン2021の参加賞として、マクドナルドの商品券をゲットしている。マックが食べられるデジタルカードを500円分が、本日の働きに対するご褒美だ。引っ越し運転手の真継くんには、営団地下鉄の一日乗車券が用意されている。

 穂高は、マックが大好きだ。マクドナルドのことを「ポテトやさん」と呼んでいる。ちなみに、郵便局は「お手紙やさん」になる。妹の夏穂も、郵便局ことは「お手紙屋さん」と呼んでいた。それでは、保育園の帰りによるらしい「セブン-イレブン」は、どのように呼ばれているのだろう。あとで、ふたりに聞いてみることにしよう。