富山わさびプロジェクト(TWP)のキックオフ・ミーティングが、糸魚川市のSKフロンティアで行われました。当日の参加メンバーは9人(全体では12人)。3月19日付の本ブログで紹介したその通りに、現地栽培施設の視察とビジネスモデルに関するディスカッションが進行しました。当日の動画(YouTube)とプロジェクトの背景と展望を転載します。
<国産わさび市場とプロジェクトの狙い>
現状、国内の本わさび市場は約50億円(金子美愛さんの修士論文、2020年参照)。ただし、15年前は、全国各地(静岡、長野、島根など)の出荷額を合計すると、全部で約100億円の本わさびの取引がありました。わさびの市場が縮小したのは、栽培農家が激減していることと、地球温暖化の進行や獣害で、自然な状態でわさびを栽培することが困難になっているからです。
この課題を解決したのが、新潟県糸魚川市に本拠を置く「有限会社SKフロンティア」の澁谷一正社長です。雪解け水の地下水をくみ上げて、年間を通して水温14℃でわさびを温室栽培する方式を編み出しました。栽培施設の建設・運営のノウハウを確立すると同時に、栽培特許を取得しています。
この栽培方法を、ミネラル分を含んだ水量豊富な富山県の農地に適用して、わさびの一大産地を形成しようとしてTeamOGAWAを結成しました。構成メンバーには、わさびのメリクロン苗供給で世界NO.1のミヨシ種苗(三好正一社長)、世界的な花と野菜のブリーダー(坂嵜潮氏)、現地で事業推進を担う実業家(元アルビスの取締役、木村宏氏)などがいます。
プロジェクトリーダーは、小川孔輔(法政大学名誉教授、オフィスわん代表)が務めます。その他のコアメンバー(法政大学小川ゼミ、元大学院生)は、おいおい紹介していきます。
一方で、欧州を中心に、海外では本わさびをフレンチや高級和食店で使用する有名シェフが増えています。国内市場はコロナで業務需要が厳しい中、海外では、高級寿司店の人気が高まっていることなども背景にあります。わたしの推計では、海外の本わさび市場のポテンシャルは、約100億円(根茎、茎、花芽を含む)。国内と海外を合計すると、約150億円(既存国内市場=50億円)の本わさびの供給余地があります。
「富山わさびプロジェクト」(略称TWP)は、そこに風穴を開けることを目的にスタートしました。SK方式(澁谷社長の独自特許)で栽培されたわさびは、自然栽培と比べて生産性が2~3倍になります。生育期間も30%ほど短縮でき、通年出荷ができるために安定してわさびを調達したいプレミアム市場のニーズにも合致しています。
価格と品質優位性は、いずれも圧倒的であることが確認されています(大田市場の海外輸出専門仲卸社長、鈴木氏にチェック確認済み)。SK方式を栽培適地である富山県で大規模に事業展開することで、地元では新しい雇用が創出できます。富山の既存農水産資源(ブリやコメ)と組み合わせることで、新しい観光資源の中心素材として富山のシンボルとすることもできます。
<現地視察とディスカッションの動画>
プロジェクトのキックオフ・ミーティングの動画(URL)をここに貼りつけます。メンバーは、オンライン参加の木村ともえさん(JR東日本企画、富山県観光課部長)を含めて9人でした。動画制作を提案してくれた木村宏さん(オレンジマーケティング代表)の命名により、TeamOGAWAと呼ぶことにしました。
動画の最後に、一瞬ですが聞こえてくる音(犬の鳴き声:わん)は、小川組の棟梁、小川教授のニックネーム(わんすけ先生)に由来しています。また、わんこの鳴き声と一緒に画像に表示されるロゴマークは、犬の足跡をモチーフにしています。
チーム小川の東京事務所(オフィスわん)は、今月12日から、千代田区神田小川町にオープンしています。今後は、新潟県糸魚川市ではじまったプロジェクトが、富山県と首都東京を結んで事業が展開していきます。皆様には、応援をよろしくお願いします。
富山わさびプロジェクトの動画を配信します。ご覧ください。