今年度の大学院生(小平君)の研究で、植物の持つ効果についてアイデアをいくつか提供した。たとえば、「花の国日本協議会」が提案している「ビタミンF(フラワー)」に対して「サプリメントP(プランツ)」などである。本日の『花卉園芸新聞』(2面)で、わたしのる「スロープランツ」の概念が紹介されている。
ファストフードに対する概念として、スローフードがある。低価格の簡便な食事を短い時間で食べるのが、ファストフードである。ファミリーと一緒のこともあるが、基本的には一人で短時間で摂る食事のことを指す。それに対して、家族や友人たちと食卓を囲んでゆっくりと談笑しながら摂る食事は、スローフードと呼ばれる。発祥の地は、イタリアである。
スローフードがあるのならば、「スロープランツ」という概念もあるだろう。JFMAの新春セミナー(1月18日)のパネルディスカッションで、思いついて提案したものである。花卉園芸新聞で紹介されたように、「温室で長時間光を当てて、ゆっくり育てた観葉植物は長持ちする」(KOTOHAの谷奥社長)。
だから、時間をかけて丁寧に育てた植物のことを、「スロープランツ」と呼ぶことにしよう。対照的な植物群は、促成栽培の「ファストプランツ」である。何らかの基準を設けて、スロープランツの認証制度を設けてもよろしいのではないか。
花の国日本協議会が提案した概念が、ビタミンF(フラワー)である。花を見たときに感じる高揚感(気持ちが上がる)を表現したものである。花の色や香りは、ビタミンのように人の心に作用するというわけである。これに対して、サプリメントP(プランツ)は、植物を見たり、その中に身を置くことで気持ちが沈静化する効果である。あるいは、森林浴などグリーン環境の中でリラックスができる現象を指す。
前者のビタミンF(切り花)は、交感神経系への作用である。気分が高揚する効果である。後者のサプリメントP(植物)は、それとは対照的に副交感神経系への作用を表わしている。FとPは対概念である。とくに後者に注目して、癒しの効果を測定しようとしたのが、小平君の研究だった。かれは「ナッチ」という測定尺度を提案している。
ビジネス化が小平君の次なる課題である。新しい概念の提案には、小平君の人生とこの国の未来がかかっている。