【事業提案】雨が降ったら花屋を探そう。そして、花店で傘を買おう。

 関東地方が梅雨に入った日(6月14日)に、「花屋にとって恵みの雨」という記事をブログに書いた(https://kosuke-ogawa.com/?day=20210614​)。そこから一か月が経過して、そろそろ梅雨が明けそうな気配だ。花店チェーンの花恋人(本社:奈良県)の野田将克社長に、「その後、傘(アンブレラブーケ)の売れ行きはいかがですか?」とメールを出してみた。

 

 驚くべきことがわかった。6月の一か月間で、アンブレラブーケの売上本数は、全店(約30店舗)で700本。6月に入ってからの週別販売本数の推移データを見ると、雨が降る日数が増えていくほど、傘の販売本数が伸びている。6月の第1週が80本に対して、第4週では180本と、2倍以上は売れている。傘の売上は、花店でも雨との相関が高いのである。 

 1店舗平均では20本強。店頭で販売されている傘の80~90%は、アンブレラブーケ(花束と傘のセット)ではなくて、傘である。ECで販売されているアンブレラブーケ(+生花)は、6000円から8000円台のものもあるが、店頭販売品は傘単体で売れていく。価格は、2000円~4000円程度。

 6月で傘の売上は、全店で約160万円になっている。7月中旬まで梅雨は続くだろう。花恋人全体では、2か月間で1500本(約400万円)の傘を売ってしまいそうだ。ちなみに、梅雨時に傘を一番売っているのは、花恋人の京都CUBE店である。6月の5週間で129本の傘が売れている。売上の約10%が、傘だという。

 花恋人で傘の売上が多い店舗を見ると、イオンモール奈良郡山(105本)や横浜桜木町店(91本)などでなる。京都駅前や桜木町駅前は人通りが多い。好立地で交通量が多いところほど、傘の販売本数は多くなる傾向がある。家賃が高い分、傘の売上で埋め合わせができているのである。

 

 「花屋で傘を売る」というアイデアは、わたし(小川)と大学院生だった弟子の鈴木君(現在、花恋人取締役)のブレストから出てきたものである。花柄の傘に、生花あるいは造花をプラスしてセットで販売してみたらどうだろう。梅雨時には雨除けの傘として、夏にかけては日傘としても売れるだろう。先ほどのデータを見ていて、ここからはわたしからの新しい提案である。

 一般的に、わたしたちが傘を買う場所は、現在は2か所である。全国的に傘が一番よく売れているのは、店舗数(6万店弱)が多いコンビニエンスストアだろう。二番目が、駅前や駅ナカ、道路沿いで交通量が多い小売店。具体的には、駅構内のキオスクやドラッグストア、都市型スーパーなどの専門店の店頭である。雨が降ってきたら、店員さんが奥の倉庫から取り出してきた傘を、店頭にさっと出して並べている。

 そうだとすると、もしかすると、花店が傘を販売する主要な拠点になる可能性があるように思う。一般の傘も売るが、花柄の傘を主として店頭に目立つように並べたらよい。花恋人がやっている販売がそれである。花恋人は、フラワー雑貨の店だから違和感がなく傘が売れている。しかし、一般の花店でも、梅雨時や夏の暑いときに、花柄の傘を並べてみたらどうだろう。

 

 最初は、店頭に装飾的に置くだけでもよい。しかし、花屋の店頭にはいつも花柄のきれいな傘が並んでいるとしたら? 世間一般のひとは、いつしか「傘は花屋で買うもの」という連想ができあがるのではないか?花屋の新しい商売として、アンブレラを販売するのである。

 花業界が提案するブランド連想は、「雨が降ったら花屋を探そう」。そして、「花店で傘を買おう」。ついでに、「花も買いましょう」である。

 これは、花業界のブランディングになるかもしれない。わたしからの驚きの提案ではあるが、いかがなものだろうか? 花業界を挙げて、店頭でアンブレラを販売してみるのである。ついでに花市場は、アンブレラも集荷して販売する役割を担うことになる。荒唐無稽なアイデアでもないだろう。なぜなら、花恋人さんがすでに実績を出しているから。