緊急事態宣言下での授業運営(再論):リモートか?対面か?

 緊急事態宣言が5月末まで延長になった。予想されていたことだが、実際にそうなってみると、演習(経営学部)や大学院の授業(マーケティング論)をどのように運営すべきか悩みが深くなる。演習に関しては、大学からの週末の通達で、感染対策をすれば対面で授業が実施できるようだ。

 

 これから学部生と相談して、大学院の教室を借りて対面で実施したいと思っている。学生たちの意向もあるだろう。ゼミ長の矢島君と副ゼミ長の熊倉さんと相談して決めたいと思っている。2021年度の企業提携プロジェクト(フィールドワーク)がはじまっている。学生同士が相談するための時間も必要だろう。

 一方、大学院のマーケティング論は、中教室での授業である。今年度の登録人数は36名。わたしと花畑講師を入れると、教室のサイズは38名になる。マーケティング論はふつうの講義に分類されている。グループワーク(テーマ討議4回)や招待講師(発表も入れると6人)の数も多い。

 しかし、授業のカテゴリー分類から言えば、マーケティング論は「対面授業」の範囲外である。対面の実施は難しいだろう。せめてもの逸脱で、「ユーロモニターのデータベース演習」(5月20日)は、301教室で実施したいと思っている。そちらの例外事例は解釈の問題で、教務担当者との相談が必要になるだろう。

  

 いずれにしても、緊急事態宣言が6月以降も延長になると、教育現場は昨年と同様の事態になる。教師や生徒同士の相互啓発というクラス授業の良さが失われる。しかし、感染予防の標準措置ができている。これまでの経験の蓄積もある。なぜそれがみとめらえないのだろうか。

 これほど注意して授業を運営しているのに、30~40人程度のクラスサイズの授業で、クラスターは起こるものなのだろうか?なんとも腑に落ちない。大学執行部も東京都も、教育現場に一律の規制を強いているように感じる。

 混雑する通勤電車内や大学の教室授業で、ウイルスの感染が拡大する科学的なエビデンスはあるのだろうか?体育の授業とは違って、教室では換気を徹底してこまめな手洗いで感染を予防している。それでもなお、教室での授業でクラスターが発生する可能性はあるのだろうか。

 

 ところで、もうひとつの心配は、外食産業や小売業の窮状である。緊急事態宣言の5月末までの延長で、このふたつの業種は、企業として存亡の危機にある。外食に関して言えば、テイクアウトの拡大や業種転換(ワタミやサイゼリヤなど)で対応しようとしている。百貨店協会などからは、営業できる範囲を緩和するように要望が出ている。

 当然のことだろう。こちらに関しても、コロナウイルスの感染拡大を促進しているという明確な証拠はない。感覚的な推論から、企業活動の自由が奪われていると言えないだろうか。外食や百貨店関係者の多くを知るものとしては、まったくもって同情を禁じ得ない。

 感染拡大の阻止も重要だが、本質的な問題は別のところにある。メディアはそのことに気づいているはずなのに、大々的なキャンペーンを張ろうとしない。少し前までは、医療体制の見直しを優先すべきだと議論していたはずが、変異株が出てきてから、医療体制の抜本的な改革は封印してママになっている。

  

 とはいえ、一般論を議論していても時間の無駄だと感じる。むしろ、いま自分が個人としてできることは、知り合いの外食のオーナーたちを救うことだろう。宣言延長後の12日からは、個人的な「外食のルール」を変更しようと思っている。

 都内の飲食店では終日、酒類の提供が禁じられている。そこまでして(アルコールなしで)営業を続ける決意をしたオーナーは、これまでは少数派だった。アルコールの提供ができないと、来店客が激減するというのが休業のロジックである。当面は休業補償もある。しかし、海産物や畜産品の生産者や卸市場の仕事は奪われてしまっている。

 緊急事態宣言で本当に危ない立場にあるのは、外食の上流にいる生産者や卸業者である。そこを救うためには、単に休業補償を当てにしてはいけないだろう。そこで、都内で外食する際に、個人的に「禁酒宣言」をすることにした。

 これまでは、酒類が提供できないことを理由に休業をj継続してきたお店で、ノンアルコールビールの提供で店舗が空ける決断をして寿司店が登場した。その宣言に加担することにしたのである。実質的な「応援来店」である。ノンアルコールビールであっても、お寿司は美味しく食べられるだろう。

 

 同じことは、他の外食についても言えるだろう。先日は、門前仲町の秋田料理店から、春の山菜(こごみ、やまうど、ひめたけなど)の天ぷらの写真が送られてきた。今年は、いつの間にか春の山菜祭りが飛んでしまった。「そうだ、門仲に行こう!」。

 いまわたしにできること。それは、ノンアルコールビールで外食をすることだ。アルコール抜きにすれば、絶対的に健康にもよろしい。どなたでもよろしい。「ノンアル外食」に協力してくれる友人はいないだろうか?とりわけ、わたしのようなアル中患者に、この形式の外食の提案をしたいと思う。

 これから、3週間分の訪店リストを作成してみたいと思っている。とりあえず、明日の月曜日(5月10日)は、門前仲町の「男鹿半島」である。14日の金曜日は、「寿司ダイニングすすむ」さん。