10年前の8月13日に、「小田川梨園@白井市では、幸水の収穫はお天気まかせ」(https://kosuke-ogawa.com/?eid=1341#sequel)というブログ記事をアップしました。掲載された記事を読んで、小田川梨園を訪問するお客さんが増えたそうです。小田川梨園のご夫妻にはとても感謝されています。10年後のいまでも8月に入ると、記事へのアクセスが20~30件(/日)になります。
10年後でも、小田川さんについてのブログ記事が、立派に梨園の広告宣伝の役割を果たしているようです。うれしいことです。わたしのブログ記事が世の中のために役に立つなんて、めったにないことです。
昨日も、一年ぶりで小田川梨園に立ち寄りました。京都・神戸で離れて暮らしている子供や孫たち、秋田に住んでいる親戚や仲間にも何軒か、さらには仕事で日頃お世話になっている友人・知人たちに白井市特産の梨を送るためです。
35年前に、三人の子供たちを育てるため、市川市から梨の町(当時は、千葉県印旛郡白井町)に移り住みました。そして、一昨年の秋に東京下町の葛飾区高砂に移住しましたが、夏になると小田川さんの梨を全国に送り続けています。日本一安全でおいしい梨だと自慢したいからです。
今日のような35度を超える夏日になると、ジューシーな幸水のシーズンが始まります。そして、秋風が吹くとやや歯ざわりが硬い豊水に主役が交代するのです。大玉の新高が出るころには、白井の梨の季節が終わます。
梨の全国発送で、35年間お世話になっているのが「小田川(おだがわ)梨園」さんです。三人の子供たちは、小学生の頃に梨園の中で遊ばせてもらっていました。蝉や甲虫が梨の木にしがみついて、たくさん這いずり回っているのです。農薬をほとんど散布していなかったからだと思います。当時は、たくさんある白井の梨やさんで、そんなにも栽培方法が違うことに気がつきませんでした。
昨日、小田川さんの奥さんに聞いたところでは、カブトムシやたくさん出るのは、真夏ではなくて春の終わりごろ(6月)らしいのです。人間の記憶とはあいまいなものです。そういえば、小田川の梨園の隣に竹やぶがあって、子供たちはタケノコを掘らせてもらったこともありました。
小田川梨園さんは、わたしが法政大学で最初に教えた語学クラスの学生で、卒業後は千葉銀行小室支店に勤務していた佐野秀行君のお得意さんでした。佐野君の紹介で、白井市清水口3丁目に引越しをしてから、いまでもわが家とお付き合いが続いています。全国発送の梨は、すべて小田川梨園の幸水か、豊水になります。
小田川さんの梨畑は、鎌ヶ谷大仏から印西方面に向って、風間街道に沿って道路脇の右側にあります。その後、「直売所」の旗が立つようになったので、庭先で梨を販売をしている「小田川梨園」の直売所はすぐに見つけることができます。白井でいちばん美味しい梨農家として、「知る人ぞ知る」の梨園です。
一時期は、新宿伊勢丹のお中元の取り扱い量が大きかったということです。しかし、ブログで最初に紹介したころから、わたしのように直接電話で頼んで、地方に発送してもらうお客さんも多くなったそうです。そのあたりから、農協出荷がほとんどなくなったようです。
小田川さんのような梨の作り方(後述)だと、共選共販出荷には割にあわないのだろうと思います。小田川さんの梨は、美味しさ、安全性ともに、折り紙つきです。”自社ブランド”が確立した小田川さんのような農家さんだと、お客さんを自分で抱えています。販売先を農協に頼って、無駄な手数料を払う意味はほとんどないのでしょう。
小田川さんの梨は、自然農法に近い状態で栽培されています。梨畑には、有機堆肥がすきこんであって、害虫駆除のための農薬散布も最小限にとどめています。そんな梨の畑には、カブトムシやクワガタがたくさんいるわけです。わが子たちが畑で安心して遊ぶことができたのは、安全な梨畑だったからです。
ところが、成長ホルモン剤を使用していないので、商売をする上では不利なこともあります。なぜなら、ホルモン剤を使わないと収穫期が正確にコントロールができないからです。梨の発送時期をピンポイントで定めて、収穫期を固定する栽培の仕方を選ぶなら、小田川梨園さんには怖くてオーダーができません。しかし、わたしたちが小田川さんに求めているのは、そうした正確な発送のタイミングではないのです。
ビジネス的には、収穫時期や発送のタイミングは、きちんとしていてくれたほうがいいのです。でも、ホルモン剤を使用していないので、「こんな暑い夏なんで、(収穫時期が)わからないんです」と70歳をすぎてもまだ若々しくて、梨のように美しい小田川さんの奥さんに言われたら、「発送はいつでもいいんですよ」となります。「美味しくなるのを待たせてもらいます」とつい言ってしまうのでした。
人間は、もっと自然の摂理にしたがうべきです。梨であれ、リンゴであれ、コメであれ、最も糖度がのっておいしくなるときが、適切な収穫時期です。買う側(人間)の都合で、化学的な薬剤を使用するのは、ほんとうは最小限にとどめるべきでしょう。果物などは、そんなに厳密に販売時期を失うものではないですからです。
人間の体も、自然の摂理にしたがっています。美味しさを感じる味覚や指の触覚も、自然の移り変わりにしたがっているはずです。わたしたちの体は、天候の変動に適応していきます。暑ければ暑いなりに、寒ければ寒いなりに、体は自然の空気に慣れ親しんでいくものです。
天気の変動に一喜一憂しているのは、価格や売上の上下動にあわてふためいているのは、卸と小売りの中間流通業者だけかもしれません。庶民には、一日二日の収穫時期の違いなど、ほとんど関係のないことです。おかしいとは思うのですが、百貨店のお中元やEC(ネット取引)など、それで商売をしているひとたちは、収穫期を厳密にコントロールできないと受注もむずかしいと思っているところがあります。
わたしたちは、本当のところは、おいしい果物が届くのであれば、いつ収穫していつ届いてもかまわないと考えているのですが。それでも、商売人たちの発想は、自然の摂理を乗り越えようと収穫時期の調整に走ります。とこか変だと思います。
ところで、いつも梨のお届けする先は決まっています。今の時期が走りで、8月も中旬から下旬にかけてになります。この時期ですから、お中元の時期はとうの昔に終わっています。わたしたち(小川家)にとって、お届けのときはいつでもいいのです。毎年届くのですが、相手は梨の到着を待っているわけでもないのです。
8月の初旬から中旬以降で、ある日突然、小川先生から白井の名梨「幸水」10KG入りが一箱、玄関先に届くのです。届くタイミングが、いちばん千葉産の梨がジューシーで美味しくなる時期なのです。だから、美味しさをピンポイントでお届けするのです。
日本でいちばん安心で安全な梨を、もっとも美味しい状態でお届けします。日本でいちばんお金持ちの方からいただいたお中元・お歳暮のお返しが、千葉県白井市の自然栽培の梨なのです。わが町でいちばんおいしい梨、小田川梨園の幸水です。ぜひ、ご賞味あれ!!
<追記>
ここまでは、10年前に小田川梨園さんを紹介するために書いた記事を再編集したものです。驚くなかれ、小田川さんの奥様が、還暦(60歳)を迎えられた直後に書いたブログだったのでした。昨日、一年ぶりに奥様にお会いしたら、「先生! もう梨売りの姉さんは、70歳を超えてしまってます!」と、笑って話していらっしゃいました。
梨の収穫はまだはじまったばかりです。でも、「今日は、売るものがないのよ」と、隣の埼玉県から車で来たお客さんに、奥さんは平謝りをしています。その日の収穫量は決まっています。朝方に熟した梨しか摘まないので、その分の幸水がはけてしまうと、梨を持ち帰りたい客にも渡せないのです。
そうなのです。だから、どうしてもほしいお客さんは、伝票に自宅の住所を記入して後日配送をしてもらうことになります。地方発送の伝票も、日にちが指定できないのです。「天候次第。お任せ発送になるんです」(小田川さんの奥さん)。
古希を過ぎても、奥さんはいつもの働きぶりです。息子の嫁さんことを、「忙しいのに、よくやってくれてるのよね」とほめたたえながら、小田川梨園の庭先販売の「姉さん売り子」のポジションは、まだまだ譲る気持ちはなさそうです。いつまでに元気でいてくださいね。