花産業、鎖国の時代をどう生き抜くか、、、それでも桜の花は咲いている

 花の調達が深刻な事態になってきた。先週は、アフリカからの航空便、オランダ経由の便が停止状態になった。今週は、米国が日本人をシャットアウトしたおかげ(逆だろう!)で、中南米とのパイプが切れてしまう。台湾、タイ、マレーシア、シンガポールなど東南アジアからの航空便もストップしている。教訓である。こういう時は船便が有利になる。

 

 その昔、どれくらい前のことが忘れてしまったが、『鎖国のすすめ』という本を出そうとしたことがある。もともとの出版の趣旨は違っていたが、いまや経済的な鎖国が現実のものとなってしまった。生鮮品を取り扱っている花業界は、特別にそのインパクトが大きい。しかも、こんな状態での鎖国だ。

 もうすぐ切り花では輸入ができなくなる。物流の問題で、すでに一部の市場では鎖国状態に陥っている。言いにくい話だが、国内の生産者にとって、これは大チャンスだろう。なぜなら、来週はじめには、輸入の花が100%入荷できない状況が迫っているからだ。

 イベントの中止や延期で数量は少なくなったとはいえ、パーティ需要や歓送迎会のための需要は少なからずはある。しかし、輸入は期待できない。ここは、国産に頼るしかないのだ。

  

 それでは、明日以降の花の需要にどのように対応すべきか? 答えは、なくなりそうな輸入品に対して「代替的な供給」を作り出すことだろう。

 

1 マレーシアやベトナムからのスプレーマムは、チャーター便以外は供給がないはずだ。出荷はあてにならない。ここの代替品は何になるのか? 春彼岸の沖縄にチャンスが巡って来ている。

2 コロンビアのカーネーションは、アメリカからの便が停止状態だから、ほぼ期待できない。貨物便での輸送になるためだが、いままで経験のない経路だ。供給は不安定のままだろう。台湾からのトルコキキョウも同様だ。航空便がストップしている。国内供給に依存せざるを得いないので、週末は高値になりそうだ。国産のカーネーション?暖地からの供給はできるのだろか?

3 中南米、アメリカ、アフリカからの葉物やヒペリカムなども同様である。ここは国産の出番になる。ユーカリなどの代替品を探すかどうか。

  

 こうしてみてみると、それでも30%の輸入依存率だから、日本はまだよいほうだ。一部は国産で代替が可能だろう。欧州と米国の花産業には、とてもつもない状態が生まれている。アフリカや中南米から花が入らないと、売れる花が調達できないのだ。しかも、外出禁止令で、売る人もいない。

 各国のフェイスブックで、産地や花店の状態を見ると悲惨である。海外の産地は、運べないのと需要不足で花を廃棄している。一方で、米国や欧州では、みなさん出歩けないものだから、花屋にはひとがいない。無償で配布しようにも、配れる人がいない。結局は、なすすべもなく花は朽ちていく。

 そのうちに、学ぶことになるだろう。これだけ、グローバルに安い花を調達してきたことがよかったのか?同じことが、アパレル産業でも起こっている。自分たちの着る衣料品を海外に依存してきたツケがまわってきた。ガーゼ一枚まとも作れないから、使い捨てのマスクを洗って5回も使いまわしている(わたし個人のことだ)。

  

 今回のコロナ騒動で、欧米とアジアが鎖国状態になった。中日韓も同様だ。これで、食べ物の海外調達チャネルがストップしてしまったら。国際的な食品調達の物的輸送経路が崩壊する。いずれは起こるだろう未来に対する、これは練習(エクササイズ)なのではないのか?などとおもってしまう。

 花業界も食品業界も衣料品業界も、来るべき事態にそなえて、鎖国の準備をしようではないか? そう思ってしまう。