京谷編集長との特別対談、「ハーフマラソン改造計画」が”RUNNET”で動画配信されることに

 数週間前に、『月刊ランナーズ』の黒崎悠編集長から対談のオファーをいただいた。テーマは「今こそハーフマラソン改造計画!」で、対談の相手はRUNNETの京谷編集長。一も二もなく快諾した。3月19日に、外苑前のアールビーズ本社にて対談は無事に終了。いずれ動画で映像配信されることになっている。

 
 コロナで気分が低迷していたが、今回はめずらしく気合が入った。対談は一時間に及んだ。対談の途中で、下条編集局長が映像に割り込んできたり、橋本社長がわれわれふたりの対談を見物にやってきた。 
 めったにないことだが、対談のために、自宅を出る一時間前にワードでメモを作成してみた。こんなに準備のより対談ははじめてだった。月刊ランナーズの編集部から送られてきた「Run Run Run」の企画趣意書と、小川の対談メモを添付する。
 わたしは、年間で15~20レース、しかもほとんどが「ハーフマラソン」である。マラソン業界で、わたしは「ハーフマラソンの伝道師」と呼ばれている。
 対談に臨んで、「わたしが、なぜハーフマラソンにこれほど入れ込んでいるのか?」と「エントリーを躊躇する危機的状況にカツを入れるため、ハーフマラソンが”中途半端な距離”ではなく、楽しさ満載の距離であることアピールする」メモを作成した。異例のことである。
   
 <結論>
 世界中のマラソン大会に参加した経験から、日本は世界で一番ハーフマラソンの比率(シェア)が高い国である。その理由を最初に述べている。そして、最終的に、地方で開催されるハーフマラソンの魅力をさらに高めるための提案をしている。京谷さんとの対談は、ちょっと理屈ぽいところもある。学者さんなので、お許しいただきたい。
 
 
 <対談企画の狙い>
 コロナウィルス騒動であらゆるイベントの開催が危ぶまれ、ランニングイベントも中止リスクの顕在化やバーチャル方式開催の急浮上など大きな変革が迫られています。こんな時だからこそピンチをチャンスに変えて、騒動に関わりなく参加者数の低迷や大会の維持に不安を抱えている「ハーフマラソン」を活性化し、人気を復活させたい。
 マーケティング研究の第一人者にしてハーフマラソンの魅力の伝道者、小川孔輔・法政大学教授とRUNNET編集長のKAZ BOMBAYEが熱く語る「今こそハーフマラソン改造計画!」。
  
 
 <小川の対談メモ>
 京谷さんとの対談メモ (BY小川孔輔)        2020年0319
 テーマ:「ハーフマラソンの魅力を訴求する、ポジションのリブランディング」
    
1 ハーフマラソンの存在意義
・素朴な質問
 <21.095km>が、なぜ日本でこれほどメジャーな距離になったのか?
 世界との比較、プロモーションのポイント
  
・仮説1: 日本の地理的な特性
 山川森海などの地形、町のサイズ(人口5千~30万人の市町村)、
 自治体の予算規模、警察の関与
・仮説2: マラソン大会の開催日程と時間(~3時間)
 半日で終われることができる、旅行での移動のついで、
 程度に疲れて、適度に疲れない
・仮説3: 日本人の体力と忍耐力との兼ね合い
 日本人に適合した距離感覚
 わたしの場合は、年をとっても記録があまり落ちない(落胆が少ない)
  
2 「ハーフ」の意味を問う
・海外経験からヒント
 日系移民や米国帰化人は、「ハーフ」と言わずに、「ダブル」という
 つまり、自分たちは、米国人と日本人の“いいとこどり”だと
 
・結論1:「ハーフ(マラソン)」を定義しなおすべきではないか?
  「中途半端な距離」ではなく、「適度な距離」であること
・結論2:そのための魅力を再定義すること
 (1) ハーフマラソン全国ランキング
 (2) 年間に何度でも走れる(個人的な体験、年間41回走ったことがある)
 (3) カジュアルに全国をカバーできる(同上、47都道府県を制覇、国盗り)
 (4) 旅行(食べ物や温泉探索)とセットできる
   
3 数字で解説: ハーフマラソンの優位性
・マラソンの三要素
 (1) 広さ(場所の地域性)
 (2) 長さ(走行距離)
 (3) 深さ(速度、練習の密度)
・年間走行距離の分解公式
 (1) 年間走行距離 = 総練習距離 + 総レース距離
 (2) 総練習距離 = 練習日数 × 標準練習距離
 (3) 総レース距離 = 参加レース距離 × 大会数
・わたしの場合(標準的な年度)
 (1) 年間走行距離(1600KM)=練習距離(1200KM)+総レース距離(400KM)
 (2) 総練習距離(1200KM)=練習日数(200日)×標準練習距離(6KM)
 (3) 総レース距離(400KM)=参加レース距離(20KM)×大会数(20回)
 
 つまり、ハーフがもっとも効率が高い距離になる