大学教育は教室での座学も大切ですが、ゼミ生に課している学習形態に「フィールドワーク」があります。FWとは、マーケティングの現場に出かけて、店舗を見て、お客さんの行動を見て、商品やサービスあるいはイベントやキャンペーンを企画する活動です。基本は、実際の企業の現場を貸していただき、マーケティング活動も企業人とコラボする形をとります。
この方法は、わたしが独自に開発したきたもので、20年ほど前に指導方法が確立できました。公式の第一号は、大宮駅の「エキュート大宮」の創業時に、学部生と院生が総勢60名で実施した年間企画でした。成果の一部は、当時の流通専門誌『チェーンストア・エイジ』に、「連載:フィールドノート」で発表されています。
今回は、地元新聞にふたつの事例を紹介しました。昨年度、ローソンと取り組んだ「温めるサラダ」と、今年度になってストライプインターナショナル(岡山市)と取り組んでいる「サコッシュ」(女性向け小型バッグ)です。後者は、現在も新しい商品の発売が継続しています。
見込み客を変更し、値段を1000円下げて、材質をオーガニックコットンに変更しました。色合いも、春らしい三色展開にしました。さて、学生と企業によるコラボ企画で、破竹の勢いは続くのでしょうか?
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「学生たちの企業研修:思わぬヒットの誕生も」
『北羽新報』2020年1月28日号
文・小川孔輔(法政大学経営大学院・教授)
文・小川孔輔(法政大学経営大学院・教授)
前回のコラムでは、ゼミの学生たちが企業の商品開発や販促活動のお手伝いをしていることを紹介しました。わたしが経営学部長時代(2000年~2002年)にはじめた企業研修(2週間のインターンシップ)が発展して、いまでは一年間を通してゼミ生を受け入れてもらっています。現在、経営学部小川ゼミと提携関係にある企業は4社です。
一昨年度は、コンビニエンスストアのローソンのため、「温めるサラダ」を提案したことがあります。サラダと言えば、冷たいものとの先入観がありますが、学生たちはそうした常識を打ち破ろうとします。プロの企業人の眼から見て、マーケティングに関しては素人と思われる学生たちが企画した商品が、思わぬヒットにつながる理由です。
瞬く間に品切れになった事例のひとつが、『日本経済新聞』(2020年1月15日)で、「女性向け小型かばん(法政大) 学生の感性、デザインに反映」として紹介されています。小型カバンとは、いま若者間で流行している「サコッシュ」という商品です。提携販売先は、アパレル製造販売の「㈱ストライプインターナショナル」(本社:岡山市、石川康晴社長)。
一昨年度は、コンビニエンスストアのローソンのため、「温めるサラダ」を提案したことがあります。サラダと言えば、冷たいものとの先入観がありますが、学生たちはそうした常識を打ち破ろうとします。プロの企業人の眼から見て、マーケティングに関しては素人と思われる学生たちが企画した商品が、思わぬヒットにつながる理由です。
瞬く間に品切れになった事例のひとつが、『日本経済新聞』(2020年1月15日)で、「女性向け小型かばん(法政大) 学生の感性、デザインに反映」として紹介されています。小型カバンとは、いま若者間で流行している「サコッシュ」という商品です。提携販売先は、アパレル製造販売の「㈱ストライプインターナショナル」(本社:岡山市、石川康晴社長)。
法政大学大学院に通っている社会人学生が社内起業したブランドの「メゾンドフルール」(国内26店舗、台湾2店舗)と組んで、2019年春に商品の企画がスタートしました。「ストライプ班」は総勢7人で、女性向けのカバンなのに三年生の男子が班長です。昨年9月に発売した商品は、リボンとフリルを配したデザインが特徴で、値段は5489円(税込み)。わたしは価格がやや割高だと感じましたが、インターネットサイト「stripe-club.com」(ゾゾタウンにも出店)では即日完売。店舗販売も好調で、先月には増産が決定していました。
鈴木将之統括マネジャーの指導の下、メゾンドフルールのブランドで商品を作ることは決めていたそうです。ただし、具体的に何を作るかは白紙だったとのこと。最終的には、自分たちが一番ほしいと思った、「可愛いデザインのサコッシュ」に決まりました。
メゾンドフルールの売れ筋は、トートバッグとスマートフォンケースなどのアクセサリー類です。そこで、小型バッグのサイズは、若い女性がよく持ち歩いている長財布やスマートフォンがうまく収まるサイズになりました。主たる購入層としては、10代から20代前半に設定。メゾンドフルールのシンボルともいえる、大きなリボンとフリルを配したデザインを手書きで作成。プロのデザイナーに依頼して、最終製品に仕上げてもらいました。カバンの色は、ブラック、ネイビー、ベージュの3色構成。
鈴木将之統括マネジャーの指導の下、メゾンドフルールのブランドで商品を作ることは決めていたそうです。ただし、具体的に何を作るかは白紙だったとのこと。最終的には、自分たちが一番ほしいと思った、「可愛いデザインのサコッシュ」に決まりました。
メゾンドフルールの売れ筋は、トートバッグとスマートフォンケースなどのアクセサリー類です。そこで、小型バッグのサイズは、若い女性がよく持ち歩いている長財布やスマートフォンがうまく収まるサイズになりました。主たる購入層としては、10代から20代前半に設定。メゾンドフルールのシンボルともいえる、大きなリボンとフリルを配したデザインを手書きで作成。プロのデザイナーに依頼して、最終製品に仕上げてもらいました。カバンの色は、ブラック、ネイビー、ベージュの3色構成。
原宿店ではゼミ生たちが店頭に立ち、自分たちが企画商品を販売しました。日経新聞のインタビューで学生たちは、「製品プロモーションの難しさを肌で感じました。実際の購入層が狙いよりやや上だったけれど、売れた喜びは格別でした」と話しています。
実は、サコッシュのヒットには後日談があります。第一弾のサコッシュが完売し、増産も決定したので、第二弾を企画することが決まりました。今回は、素材をオーガニックコットンに変更し、値段も3000円程度に抑えました。当初のターゲットとした20代女子の購入率が低かったからです。
実は、サコッシュのヒットには後日談があります。第一弾のサコッシュが完売し、増産も決定したので、第二弾を企画することが決まりました。今回は、素材をオーガニックコットンに変更し、値段も3000円程度に抑えました。当初のターゲットとした20代女子の購入率が低かったからです。
ターゲットにうまく刺されば、前回以上に販売は好調に推移すると思っています。ブランド担当の鈴木マネジャーに、わたしのほうから「実際のところを教えてください!」とメールを入れたところ、さっそく返信が戻ってきました。
「今週から、新作第二段発売‼️ 前回の反省ターゲットが20歳前後のため、価格が高かったので、価格を抑えました。素材がメゾンフルール定番のサテンから、オーガニックコットンへ変更。カラーを春も使える春カラーに変更。また売れます‼️」
こんなやり取りを、学生と企業人が交わしているのが、わたしの周囲では日常的な風景になっています。真の意味での企業研修です。というわけで、第二弾のオーガニックコットンのサコッシュも売れること間違いないですね。