こんなに朝早く起き出して、飛行機に乗った記憶がない。4時40分起床。京成線から都営地下鉄線浅草線直通で羽田空港国際線ターミナルへ。3階の団体集合場所にて、北京花博ツアーの12人と待ち合わせ。9時05分発のJAL21にて北京まで飛んできた。
ガイドさんの解説によると、つい数日前までは、北京も気温32度だったようだ。それでも、アカシヤの大木の木陰に入ると、ひんやりと涼しい。故宮博物園の見学コースを外れて、裏門のところでチャーターしたバスを待っていると、同僚の高田朝子教授から、月末に予約してもらったレストランの支払いについて、注意のメールが飛んできた。
「先生、いいわすれてました、21日のクルル、基本現金払いです。どんなに食べても一人1.5-2万ぐらいです。普通二人で2万こえるぐらい。ワインにもよりますが。現金を握りしめていってください。カードだとサーチャージとられます」
クルルとは、高田先生や菅谷さん御用達のフレンチレストラン。親切なアドバイスに、「それではなく現金を握りしめて行きます!ちなみに、今は北京です」と応えておいた。バスに乗り込むやいなや、朝子先生から返事が戻ってきた。
「あら! 東京は猛暑で各地で冷房が止まって大変みたい。私は原稿直しに野間年に行ったらこんなことに。先生もおきをつけて」
コーヒーショップは、エアコンが故障していて、一階だけの利用になっている。ガランとしたフロアーの写真が送られてきた。
この街は、わたしが生まれた秋田とほぼ同じ緯度の位置にあるらしい。植生がよく似ている。街中の街路樹に、ポプラや白樺の群生。一番懐かしいと思ったのは、幹の太いアカシアの樹木がそこかしこに林立していることだ。
子供の頃、ニセアカシアの甘い香りが漂う砂丘で遊んでいた。北京の人たちも、子供の頃、この風景の中で育ったのだろう。
8月のお盆が明けると、秋田は秋風が吹き始める。友人の加藤くんから何やら大きな荷物が届いたようだが、きっと去年の夏に八森海岸で撮った写真だろう。「大きく引き伸ばして送るから」と言ってから1年が過ぎていた。気温が下がったから、きっと思い出したのだろう。
チャーターしたバスは、北京の西郊外に向かっている。車内のクーラーがガンガン効いて頭が痛くなるくらいだ。20年ほど前に来たはずの湖に行くようだ。1時間ほどかかるとのこと。
先程はあまりに日差しが強くて、ビールが欲しくなった。皆も同じ気持ちのようだ。
6年ぶりの北京は、どこに行っても人が多い。夕方に観光で寄った世界遺産の別荘地も、地方からやってきた中国人でいっぱい。夏休みのせいか、子供の修学旅行の団体で満杯だ。国民全体の生活水準が上がって、日本行きだけでなく国内の観光も盛んなのだろう。
40年前の日本の状況と同じだ。私たちも、70年代から80年代の初めまで、日本全国を団体旅行で回ったものだ。パリやロンドン、ニューヨークと海外旅行も同じようなものだった。騒々しく連れ立って。
いつか来た道を、中国の人たちも歩んでいる。その先に何があるかはわからない。成熟した旅行文化を中国の人たちも持てるのだろうか?中進国の罠に囚われるのかそれとも、欧米の技術を抜き去っていくのか。
明日は、北京の国際花博。北京郊外で行われている博覧会は年々盛況になっているのか?三年前の上海以来になる。