雑誌『プレジデント』の<シリーズ:ビジネススクール流知的武装講座>の8月23日発売号で、「消費増税・軽減税率導入で価格はどう見直すべきか」(仮)という記事を発表します。先月発売の拙著『「値づけ」の思考法』(日本実業出版社)をもとに、ライターの方がインタビューを原稿にしてくださいました。本日は、その予告編(チラ見せ)です。
キーワードは、「顧客が買いたくなる価格」。前回(2017年)は、ヤマト運輸の値上げに端を発した、物流コストの上昇をテーマに、インタビューの記事が掲載になりました(「ヤマト運輸はなぜ、サービス見直しを迫られたか」『プレジデント』2017年5月29日号)。
今回は、いみじくも10月1日から消費増税のタイミングで、わかりやすい価格設定と業績の関係について論じています。詳しくは、書店やコンビニ、キオスクで雑誌『プレジデント』を購入していただくとして、冒頭では以下のような論旨を展開しています。
消費増税で、軽減税率制度(8%据え置き)が導入されます。飲食店やファーストフードチェーン業では、テイクアウトは8%、外食やイートインは10%と異なる税率が適用されます。そのため、両方を提供する店舗では、価格設定をどのようにするのかが注目されています。
利益を考えれば、直接的に消費税を価格に反映させること(テイクアウトは値段を不変、イートインのみ増税分の2%分を加算)が一般的と思われます。常識にしたがって、外食産業では、モスバーガーや吉野家などは、テイクアウトとイートインでは税込価格を変える方針です。残念ながら、この方針にわたしは個人的に異を唱えていました。
利益を考えれば、直接的に消費税を価格に反映させること(テイクアウトは値段を不変、イートインのみ増税分の2%分を加算)が一般的と思われます。常識にしたがって、外食産業では、モスバーガーや吉野家などは、テイクアウトとイートインでは税込価格を変える方針です。残念ながら、この方針にわたしは個人的に異を唱えていました。
早速、わたしの推奨価格づけに賛同してくれる企業が現れました。KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)です。同社は、商品価格をテイクアウトもイートインも税込250円に据え置きます。税金を計算すると、イートインのほうが2%高くなるのですが、この価格統一がいま話題を呼んでいます。
顧客にとって、わかりやすさを重視した結果なのです。それにプラスして、ケンタが二個でワンコイン(500円)になるので、1円単位の端数が生じなくなります。「利益を削って、わかりやすい価格にした方がメリットが大きい」と判断したのです。
同じく、牛丼の業態では、松屋フーズもイートインとテイクアウトを同一価格にする方針です。そうした意思決定の背景にあるのは、どちらも業績が好調なことです。増収増益が続く両社だからこそ、実質値引きの価格戦略が取れるのです。KFCの場合は、期間限定ですが500円のランチセットを導入するなど、消費増税のまえから「わかりやすい価格設定」を行っています。