『食品商業』で連載(「農と食のイノベーション」)をはじめてから3回目。不二製油(植物性油脂の製造・開発会社)の取材で、大阪出張に出かける。清水社長のインタビューは、法政大学の同僚、田路則子先生の紹介で実現したものである。田路先生は、北欧で現在はサバティカル期間中。
今回の取材は、数年前に日本最大の豆腐メーカー「相模屋食料」(本社:群馬県前橋市)の鳥越社長と知り合ったのがきっかけである。鳥越さんとは、「日経MJのヒット塾」の講演会(ザクとうふ)の司会でご一緒させていただいた。その後、経営大学院で講義をしていただき、拙著『メディアの循環』(生産性出版)では、その時の講義録を書籍に収録させていただいた。
わたしが注目しているのは 「マスカルポーネのようなデザートとうふ」の開発の先にある植物性タンパク質の可能性である。書籍の中では、わずかなスペースでの紹介だったが、大豆を使った発酵技術は日本のお家芸である。その応用分野として、ソイミート(大豆由来の人造肉)が米国市場を席巻するかもしれないと考えている。
課題は、本物の肉製品を超えた「美味しい加工品」を開発できるかどうかにかかっている。食感のよい滑らかな「TOFU」(植物性たんぱく質)が、肥満と栄養バランスの悪さに悩む米国人に受けるかもしれないからだ。植物性油脂の加工技術(特許)を持った不二製油が、日本最大のTOFUメーカーの相模屋食料とタッグを組んでいる。
今回の取材は、両社の関係を知ることがメインのテーマである。また、日本企業で植物性たんぱく加工品(肉代替品)のイノベーションに投資している企業(のトップが)が、人類の食に未来をどのように考えているのかにも興味がある。
次回の「NOAF支援セミナー」(ナチュラル&オーガニックビジネスセミナー)は、9月15日(土曜日)に法政大学で開催される。そのときのテーマは、「日本のヴィーガン、ベジタリアンの市場」のサーベイを予定している。今回のインタビューは、そのための事実チェックの意味合いもある。
本日は、京都で途中下車になる。来月(9月21日)からはじまる京都女子大での講義「特論Ⅳ」の準備も兼ねている。林夫妻と、京都駅前のそばやで、夏のすき焼きをいただくことになっている。宿泊は大阪のリッチモンド大国になる。