『ローソンがセブンを超える日』(NHK新書)、中断していた執筆作業を再開しました

 玉塚元一会長が退任した5月に、『ローソンがセブンを超える日』の執筆作業を中断した。半年ぶりに、執筆を再開することになる。本日、ローソンの商品開発担当者(大澤勝司氏)のインタビューを終えた。予定していたスイーツの開発担当者の取材は、少し先に延びる。

 

 突然の退任劇で、しかもメディアが玉塚さんの行動をおもしろおかしく取り上げたため、出版のスケジュールが先に進めなくなった。わたしは、いつも運に恵まれている。約半年間の中断は、それなりに意味があったように思う。

 

 第一に、執筆者としては、新浪-玉塚と受け継いできた戦略の方向性が、竹増社長の時代になっても揺るぎがないことを見極める必要があった。これは、その後の4か月の追加取材で、確認することができた。

 二番目に、大学院の授業やいくつかのセミナーで、「小川仮説」を聴衆に提示してみた。その後に、参加者からわたしの予測の妥当性について意見をもらった。「ローソンがセブンを超えられる条件」をいくつか提示して、その条件がローソンに有利に作用していることを確認してもらった。

 たとえば、静岡のセミナーでは、オーディエンスから、超えられることについて、「Yes/No」の投票をしてもらった。結果は、「Y=41対N=1」だった。わたしとしても、自らの見通しについて、ローソンの躍進について確信を持つことができた。

 

 最後に、実は、執筆者として時間稼ぎをしていた。嵐の時は、雨が止むのを待つ。時期を見計らっていたのは、『マクドナルド 失敗の本質』の執筆のさいも同じだった。日本マクドナルドの業績が悪化しそうな気配を感じて、出版のタイミングを計っていた。時期はいずれ熟すものだ。

 セブン対ローソンに関しても、その時が到来したようだ。先月、とうとう一年ぶりに、月次の既存店売上高で、ローソン(+101.2%)がセブン(+100.2%)を上回った。今月も、その傾向は変わらないようだ。

 先週の日経によると、大幅な減収が予想されていたローソンの3~8月期の決算で、ローソンの業績が思いの他に下振れしなかった。スイーツ、惣菜(サラダ)、チケットの売上げが好調で、決算にプラスに貢献していた。ローソンの強さを反映した業績の上振れの結果だった。

 

 そんなわけで、新年早々を目途に、いまは新書の刊行を進めている。週明けから、本格的にローソン本の執筆が再開になる。