「日本商業学会、夏の学校」の講師を依頼され、いまから神奈川県の葉山町へ。自分のこれまでの研究生活を話すことになっている。自身が設定したテーマは、「わたしの社会活動・研究活動」。一時間ほど話したあと、若手研究者の研究発表にコメントをすることなっている。
振り返ってみると、研究者として43年間、休みなく活動してきたことになる。よくわけもわからず、22歳で大学院に進学した。宮下藤太郎先生(東大)、大沢豊先生(大阪大)など、先生や先輩(片平さん、中島さん、上條さん)に恵まれた。
東大の大学院から法政に助手として移ってからも、故・橋本寿朗さん(東大~法政)、鬼塚先生(元常務理事)や日向先生(第一教養部~経営学部、数学)など、同僚にも恵まれた。すべて運命の女神が、運よく、わたしに微笑んでくれたおかげだった。
総括してみると、それほど立派な業績を残せたわけではない。どちらかといえば、体育会的な仕事のやり方を奨励してきたので、質よりも量を重視してきた。この方法は、絶対的な勝ちパターンではないかもしれない。
しかし、研究者としてのある種の生き方を伝えることはできるように思う。すこし特殊事例かもしれないが、むしろこれから生きていく若手の研究者のロールモデルになれるかもしれない。
良い研究者になるには、
(1)誰のために: 社会のために役立つ研究を考えること、
(2)誰と一緒に: 企業家を含めて、人的なネットワークを大切にすること、
(3)何を: おもしろい研究素材と心中する気概で
(4)どのように: ひとり孤立することなく、研究チームを組織すること、
そうすれば、良い研究ができます。
さらに言えば、ある年齢(50歳)を過ぎたら、
(5)研究者として、教育界に世の中に恩返しをすること、
(6)キャリアチェンジは、45歳からはじまることを自覚すること、そして、
(7)幅広く研究するには、歴史から研究のヒントを得ること。