「花業界のトレンドカラーをつくりましょうか?」『JFMAニュース』(2017年8月20日号)

 他業界とのコラボレーションは、時として思ってみない副産物を生み出すことがある。今月のJFMAイブニングセミナー(8月8日開催)でのこと、先月のイブニングセミナーにご参加下さった日本カラリスト協会の伊藤さんが、メンバーの渡辺さんを連れてきて下さった。


驚いたことに、初参加の渡辺さんは、事前に拙著『マクドナルド 失敗の本質』(東洋経済新報社 2015年)やブログを読んできて下さっていた。下調べをしてからイブニングセミナーに参加して下さったことが、そもそもかなりの感動ものだった。そんな人はあまり見たことがない。イブニングセミナーが始まってからも、お二人は参加者の間を積極的に歩きまわって名刺交換や意見交換をしておられた。

 JFMAの総会(6月)以来、理事会や会員メンバー間での意見交換が、以前に比べて目に見えて活発になった気がする。伊藤さんに聞いてみると、7月のイブニングセミナーに初めて参加してみて、「会長(私)が若い人たちのところに回って気さくに話しかけているのを見て、これは他のメンバーも連れてこなくては」と思ったらしい。

 古くからの法人会員メンバーとはいえ、それほど交流の密度が深かったわけでもなかったから、先月のイブニングセミナーも「情報交換のために参加されたのだろう」くらいに思っていた。
 そんな訳で、伊藤さんが2か月連続でイブニングセミナーに参加して下さったことには、正直びっくりさせられた。しかも、今回は同僚を伴っての参加である。事情を聞いてみるとなるほどと納得できたので、お二人に初対面のJFMA会員をほぼ全員紹介して差し上げた。

 お二人との会話が大いに弾んだのは言うまでもないが、話はここで終わるわけではない。お二人とわたしが話していた隣の席に、たまたま東日本板橋花きの樋口さん(JFMA理事)が座っておられた。
 「カラリスト協会の方が会員にいらっしゃるなら、その年の(花の)トレンドカラーを決めるのに、JFMAとコラボレーションをしてもらったらよいのでは?」と樋口さんから提案が出された。
 例年、8月の理事会ではJFMAの取り組みに関するフリーディスカッションを行っているが、今回は、「拠点物流検討プロジェクト(ゲートウェイ構想)」と、「中国輸出推進プロジェクト」に時間を取られてしまい、その他のプロジェクトに十分な時間が割けなかった。「この続きは、イブニングセミナーで」と理事会の閉会宣言をしたのだが、プロジェクトについてのフリーディスカッションが本当に復活してしまった。

 早速、三好さん(副会長)や松島さん(事務局長)に話を通し、次回の理事会で協議の上、「トレンドカラープロジェクト」がスタートすることになった。当然のことながら、プロジェクトのリーダーは樋口さんで、アドバイザーはカラリスト協会のお二人ということになるだろう。
 「実は、前からチャンスがあればやってみたかったのですよ」(樋口さん)。しかし、組織体制が変わって自主的にプロジェクトを提案する機会がないと、こうした案は理事会に上がってこない。引き金になったのは、JFMA会員のカラリスト協会のお二人の存在だった。
 新陳代謝で組織が若返ると、こんな成果が生まれるものだ。そう思ってイブニングセミナーの会場を後にした。