公開2日目に、玉塚元一さん(元ローソン会長)から「ファウンダー」の感想文をメールでいただいた。それに刺激されてか、先週末には知り合いの5人が映画館に足を運んでくださった。全員が大手企業の中堅幹部たちである。この映画に一様に衝撃を受けていた。
1.H.Nさん(プロモーション企画会社、マネジャー)
レイクロックは絵に描いたようなユダヤ式商売でしたね。
金脈を見つける審美眼とか、プラットホーム作りに掛ける採用力とかフットワークとか。
玉塚さんが言われるように、良い商売をすることと、商売を広げるのは別々の才能なのだと思います。
でも、一番ユダヤ気質を感じたのは、ビジネス拡大のために、金脈を作ったマックディック兄弟を切り離し、不動産手法のプラットホームを教えてくれたソナボーンも解雇し、ビジネスを支えてくれた奥さんとも離婚する、そのシビアさに感じました。
ビジネスの真髄のためには恩義と大義は分けなければならないと。そんな不義理は人間的になかなか出来ないですが、大義の前では契約すら破棄する断捨離力が大成するんでしょうね。
そういえばビルゲイツも局面でジョブスを裏切りました。
何かの為に、何かを捨てるのは能力なのかも知れません。
レイクロックはマクドナルド兄弟に対して、フランチャイズを通して全米にゴールデンアーチというアメリカらしい平和のシンボルを作るのだと。それが彼の大義なのですよね。
しかも、この考えをユダヤ系のクロックが、純血アメリカ系のマクドナルド兄弟よりも強く持つのも皮肉めいてて面白いですよね。
でも、秀でた才能を越えるような根気や信念も、クロックの場合ユダヤだからできたのではなく、ずっとレコードを聞いて自己啓発してきた、いわば自分を教育して、ユダヤ式成功法則に寄せていたのかなと。という意味では根気や信念て大事ですね。
最後のファウンダーという名刺も、虚栄心よりもその方が人に影響を与えやすいという合理性なんだと思います。虚栄心が高ければ、簡単に社交クラブをやめないと思いますので。
2. K.A.さん(大手流通業、営業本部長)
ファウンダーは56人入るミニシアターで上映され、二時からの部は満員でした。
客層は60才以上がメインで、二人組みが半分くらい、二人組みの半分くらいがカップルでした。
笑い声は無く、シリアスな雰囲気が終始した感じです。(笑)
価値観をどう持つかで感想は変わりますね。
先生がおっしゃったとおりエグい内容でした。(笑)
それだけに、社長業を支えるエコシステムの話は秀逸に感じます。
3. S.T.さん(エアライン、広報担当マネジャー)
小川先生、おはようございます。
いま有楽町の映画館にファウンダー見に来て見ました。朝、10:45からと言うのにほぼ満席です。驚きました。時間帯のせいか、年齢層は高めですね。見渡す限り50-70台がメインです。
良い意味で事前の想像と全く違う映画でした。
これからマクドナルドに行く度に、マクドナルドの歴史も噛み締める事になりそうです。
マクドナルド兄弟と、レイクロックとの共通点は、情熱と品質、サービスへのこだわり、相違点は、野心、というところですね。
ビジネスも様々な人との出会いですね。
我々航空業界にもたくさんの共通点があります。
この映画は、経営者がみるのと、平凡なサラリーマンは見るのでは見え方が違うかもしれませんね。
私はマクドナルド兄弟タイプだと思いました。
良い映画をご紹介いただきますありがとうございました。先生にご紹介いただかなければ、出会わなかった映画だと思いますが、見に行って良かったと思います。
ミニシアターだけでの上映ではもったいないです。
マクドナルドという名前にあれだけこだわったレイクロックにマーケティングの才能にも感服します。
4. K.K.さん(大手メーカー、新規事業担当部長)
ファウンダー、凄い映画でした。ビジネスマンならば誰もが見るべし、少なくとも経営に関わっている人はみておく価値あり。
成功の裏側にある光と影、ビジネスを成功させる普遍の法則・エッセンス、ヒント・ティップスがいっぱい詰まっている。美化された伝記・英雄伝でないだけに、それらが説得力を持って心に迫ってくる。本当にいろいろ考えさせられました。
一つだけ挙げれば、玉塚さんの書かれていた嗅覚、行動力、巻き込み力に加えて、時として「非情さ」が必要なこと。非情なことは決してネガティブではない、そこに信念と情熱があればと。
1日たった今も少々興奮が残っています。
5. S.K.さん(大手出版社、編集者)
*感想文として、PCにまとめて送ってくださいました。
『ファウンダー』
マクドナルドを大きく成長させたレイ・クロックの物語。
レイ・クロックが創業者ではなく、創業者から権利を買い取り、
大きく成長させた人物だということは知っていた。
しかし、この映画を見て、そのやり方はかなり強引で、
「乗っ取った」と言われても仕方がないような方法だったと
初めて知った。
マクドナルドの本来の創業者である兄弟が、
優秀な弁護士に恵まれ、訴訟を起こしていたら、
結果は違うものになっただろう。
レイ・クロックも危険な賭けをして、勝てたから
よかったものの、負けていたら、元のしがないセールスマンに戻っていたかもしれない。
私が考えたのは、2点だ。
作るのが上手な兄弟と、マーケティングにたけたレイが、
うまく組むことはできなかったのか、ということ。ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫のように
なることはできなかったのだろうか。何度かやってだめだったのなら、レイにも同情できるように思う。
もう一つは、兄弟はのちに、マクドナルドでないバーガーショップを立ち上げて失敗しているが、
レイに「マクドナルド」を使わせない方法はなかったのか、ということだ。
アディダスとプーマは元は同じ会社だったが、兄弟が仲たがいして分裂している。
元の会社の名前は使っていない。
だからこそ、両社が生き残れたのかもしれない(プーマはフランスの企業連合の傘下にあるが)。
アイデアがあり、こだわりもある兄弟と、
マーケティングの才能があり、出会いにも恵まれたレイ・クロック。
どちらの立場にも身をおいて考えることができた。
流通業や小売業、飲食業の人たちは必見の映画だと思う。
以上です。