メディアの失態には目を覆うばかり: 朝日新聞「天声人語」の自己矛盾(上杉隆氏の論点)

 昨夜は、実妹の近藤道子と、2時間も「政治とカネ」について電話で激論をした。政治ネタが好きな兄妹なので、この手の話になると、夜が遅くになっても議論が止まらなくなる。道子は、ふつうの主婦なので、「反小沢派」である。わたしは、民主党嫌いの「小沢シンパ」である。


村木さん事件(厚生労働省局長の裁判)があってから後は、とくに検察とマスメディアに対しては、まったく彼らの主張が信じられなくなった。
 「週刊ポスト」で、ジャーナリストの上杉隆氏がきわめてまっとうな議論をしている。左翼的なポーズをとりたがるが、本当の姿は、視聴率や発行部数を増やしたいだけが、活字メディアの実像である。
 「好き嫌いと憶測」だけで、小沢一郎をさも有罪であるかのように扱おうとしている。もちろん、そうした記事を好むわれわれ庶民に、根本的な問題があることは認めるとしよう。その通りである。
 わが妹のように、そうしたメディアに反応してしまう、一般人が悪いのだ。日本の一般大衆がおろかなのである。だから、メディアも検察も、そのように書いたり動いたししてしまう。悪いのは庶民である。
 しかし、裁判は終わったわけではない。まだ始まってもいない。おそらくは、起訴されたとしても、この後で証拠固めができるかどうかを考えると、無罪の判決が下される可能性がきわめて高い。それなのに、有罪にもなっていないのに、なぜ小沢氏が議員を辞める必要があるのだろうか?

 対象がふつうの庶民ならば、「疑わしきは罰せず」のはずである。まちがいなく推定無罪のはずなのに、職を辞する必要がどこにあるのだろうか。これは、正義の名を語ったある種の暴力ではないのか。
 以下では、ジャーナリストの上杉氏の論点を、引用することにする。まっとうな議論である。しかし、こうした常識的な論理が、いまの日本では通用しないのだ。朝日新聞やアエラを、わたしはとうの昔に読むのをやめている。どこか偏向している。
 
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 マスメディアは検察からのリーク情報をもとに、小沢一郎元民主党代表に「政治とカネ」の問題があると書き続けてきた。だが、小沢氏が仮に無罪となれば、「グレー」ではなく「白」である。そのとき、記者クラブメディアがいい続けてきた「政治とカネ」の問題は、膨大な誤報の山であったということになる。
  もしそうなったら、テレビ・新聞は、一体どう責任をとるつもりなのか。ジャーナリスト、上杉隆氏が、「天声人語」の論理矛盾を取り上げる。
 
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 10月6日の朝日新聞「天声人語」は、自己矛盾にさらに自己矛盾を重ねるものだった。いわく、「郵便不正事件で不当逮捕された村木厚子さんは、5カ月も自由を奪われ、復職までの1年3か月を無駄にした。立法という究極の公務に携わる小沢氏も、『政治休職』するのが筋だ」
 呆れるほかはない。朝日は村木さんが検察の“犯罪”によって自由を奪われ、休職を余儀なくされたことを引き合いに出し、小沢氏に同等の基本的人権を無視した不当休職を求める理屈になってしまっている。これでは、「村木さんが酷い目にあったのだから、小沢氏も酷い目にあうべきだ」というに等しい。
  朝日新聞は村木さんの悲劇を繰り返さないために、検察批判をしてきたのではないのか。ところが相手が小沢氏になった途端「政治休職」させる、すなわち議員辞職させるために全く逆の論理をふりかざしてしまっている。「天声人語」は、自ら論理破綻の検証をして、訂正文を載せた方がよいのではないか。
 
※週刊ポスト2010年10月22日号